昨シーズンは8勝を挙げて10位に躍進したアランマーレだが、今シーズンはわずか4勝しか挙げられず、13位に後退。松永は以下のように振り返る。
「自分たちの実力が足りなかったというのもありますし、このままじゃダメだということで途中で修正を加えたんですけど、それが上手くいかずにそのままズルズルいってしまったのが自分たちの弱いところ。そこが上位チームとの差だと思うので、来シーズンからはそこを変えていければと思います。何人か抜けるんですけど、ガラッと新しいチームに代わって、アランマーレらしい勢いのあるチームになってもらえればと思います」
松永個人としても、「最後のほうは自分のプレーが出せなかった」と苦しいシーズンになってしまった。その原因は股関節の故障だ。
「症状が出るまではあまり気にしてなかったんですけど、積み重なって1回バーンって痛みが出てしまって、それからは水がたまったり、日常でもずっと痛みがあって、それを引きずって……たぶん完治とはいかないと思うんですけど、自分の中で整理して、うまく付き合っていければと思ってます」
その結果、松永はルーキーでありながら引退の道を選んだ。チームからは慰留されたが、「『私の中ではもう決まってます』と伝えました」ということだ。
「考えて、自分で出した結論です。悔いがないとは言いきれないんですけど、楽しいバスケット人生だったなと思います。これからは同期とか、プレーを続ける人を応援しつつ、元気をもらいたいです。また機会があればどこかでプレーできればと思いますし、トップレベルでできたということは自分の中ではすごく良い経験でした。それを生かして、次のステップに進みたいと思います。できれば自分が教えてもらったことを次の世代に伝えていけたらと思いますけど、バスケットにはいろんな形で関われると思うので、それを自分なりに探していきたいです」
Wリーグではほんの1年余りの現役生活だったが、そのチームがアランマーレだったことも松永にとっては財産になった。周囲の支えがどれほど大切なものだったか、それは地域に根差したクラブだからこそ、より強く感じられるものだ。
「ファンの方々が温かいチームで、ホームゲームではいつもオレンジで埋め尽くしてくれて、ファンの皆さんの応援が何よりも力になってました。これからも応援していただきたいですし、結果で恩返しできるように、残ったメンバーに頑張ってもらいたいです」
「苦しいこともたくさんありましたけど、やっぱり『楽しかった』というのが一番」という松永のバスケット人生。これからどのような道を歩むとしても、その経験の全てが必ず人生の糧となるだろう。コート狭しと走り続けた年月よりもはるかに長くなる可能性のあるバスケット人生第2章に、幸多からんことを祈る。
文・写真 吉川哲彦