復活の活躍でコートを舞ったシューター
「京王 Presents Wリーグプレーオフ 2023-2024」が開幕。レギュラーシーズン5〜8位のチームはセミクォーターファイナルからスタートし、勝ち上がった2チームはクォーターファイナルで待つ3位ENEOSサンフラワーズ、4位トヨタ自動車アンテロープスとの一発勝負でベスト4が決まる。6位のトヨタ紡織サンシャインラビッツを破ったENEOSとともに、3戦2先勝方式に変わるセミファイナルへ進んだのは、トヨタ自動車にアップセットした5位のシャンソン化粧品シャンソンVマジックだ。昨シーズンは7位から、その前年も6位から番狂わせを起こし、3年連続のセミファイナル進出となる。
初戦のセミクォーターファイナルでシャンソンは、8位のアイシン ウィングスと対戦。平均8点をマークする先発メンバーの一人、シューティングガードの金田愛奈が3×3女子日本代表としてアジアカップ出場のために欠場。不安要素であり、鵜澤潤ヘッドコーチが誰を代わりに起用するのか興味深かった。
「このラウンドは一発勝負なので、どうしても負けられない。金田の不在は大きいけど、開幕当初のラインナップに戻して戦っていくしかないかなと思った。金田の代わりに、これまでも多くの経験をしてきた吉田をスタートで起用し、出だしで良いシュートをいっぱい打ってくれたので、チームとして助かったシーンがたくさんあった」
吉田舞衣が先発で起用されるのは、3月2日のトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦以来となる。シューターの仕事はその名のとおり、シュートを打つこと。だが、決まらなければ、まわりも自分自身も納得がいかない。結果がハッキリと数字に表れる大変なポジションである。先発を外されたシーズン終盤の5試合での最多得点は3点。出場時間が5分に満たない試合も多く、3ポイントシュート試投数はたった4本と仕事をする機会が少なくなっていた。
「自分がコートに立てない時期は、チームの勝利のために何かしたいんですけど、やっぱり何もできない歯がゆさだったり、そういう思いがありました」(吉田)
しかし、大事なプレーオフでふたたび重大な責務が回ってきた。「コートに立ったときは全てではなくても、自分が何かできる仕事をコート上で絶対にしてからベンチに戻ろうと意識していました」という言葉どおり、13本の3ポイントシュートを放ってシューターの仕事を全うする。また、11本のリバウンドを拾ってチャンスを作り、攻守に渡ってチームのために持てる力を発揮した。
あきらめないアイシンは残り1分20秒、山口奈々花がファウルを受け、倒れながらも3ポイントシュートをねじ込む4点プレーで、80-78と2点差に迫る。次のオフェンスで5本目の3ポイントシュートを決め、突き放した吉田はチーム最多の23点を挙げ、Wダブルの活躍で勝利に貢献。85-79で逃げ切った試合後の会見では、笑顔とともに「今日は良かったです」と簡潔にまとめた吉田は、プレーオフでふたたび舞いはじめた。