「本当に全部が難しいですね。練習メニューを考えるのもそうですし、選手のモチベーションを保つというのもそうですし、私1人ではできてない。チームのスタッフや応援してくださる皆さんが選手を支えてくれてるので、私はまだまだです(笑)」
日立ハイテクでの最初のシーズンに10連敗を経験し、「あのときはビックリして、勝てないってこんなにキツいんだと思って苦しかったです。でも、選手のほうが苦しかったと思うし、終わったことはしょうがないから、常に前を向こうと思ってやってきました」と当時を思い返す石川HCは、山梨にやってきた今シーズンも12連敗を味わわされた。しかし、今回は「逆に私のほうが選手たちに助けられた」という。
「また負けた、キツいなぁと思っても、選手と会うときは絶対に元気な姿で会おうと思ってたんです。でも、選手たちはそれを超えてくるくらい元気で、ヘコんでる場合じゃないなと思いましたね」
石川HCが大型連敗に人一倍ショックを受けるのも、現役時代を過ごしたシャンソン化粧品が当時は常勝チームだったからだ。ジャパンエナジー(現・ENEOS)以外のチームに負けることが少なく、勝って当たり前の状況。負けることに慣れていなかった分、その反動も大きくなるのだが、石川HCはそんなチームにいたからこそ苦しみを味わった部分もあり、それを乗り越えて主力に成長し、日本代表の一員にもなった経験は山梨の選手たちにも伝えたいと思っている。
「シャンソンに入るまでは日本一を経験したこともなかったですし、シャンソンは半分くらい日本代表選手だったので最初の6年くらいは試合に出られなかった。そういう環境でやらせてもらった中で、レベルの差ってそんなにないと今も思ってるんです。自分ができたから。そこをどう伝えていくかというのは常に考えてますね。やればできるということを選手たちが信じられれば、もっと強くなると思うんです。相手がENEOSだから、トヨタ(自動車)だから負けて当たり前じゃないし、勝ちたいけど負けてもしょうがないよねと思うのか、本当に勝ちにいきたいと思うのか、自分たちは勝てると思うのかだと思うんですよ。強いチームからしたら、相手がずっとチャレンジし続けてくるのって怖いと思うんです。途中で諦めちゃうと、強いほうのチームは楽なんですよ。それを試合で伝えることが一番だと思うし、気づいてもらうことが大事。シャンソンに入るまでは試合に出られない気持ちがわからなくて、こんなに悔しいと思ってなかった。それはシャンソンで学べたことです」