大阪薫英女学院高からアイシンAWに入団した髙原のキャリアは、ケガの連続だった。ルーキーの2017-18シーズンは高卒にしてスターターに定着し、1試合平均8.3得点と将来を期待させる活躍ぶりだったが、その後の4シーズンのうち2シーズンは全休。2度目の全休となった2021-22シーズンを最後にアイシン(チーム名変更)を去り、東京羽田に移籍している。そして先に触れたように、移籍1年目の昨シーズンもケガで開幕には間に合わなかった。今シーズンは髙原にとって、日々の練習や試合が何よりも充実している。大ケガをした頃のことを思い出すと、髙原は思わず言葉を詰まらせる。
「大きいケガを2回して離脱しているので、今こうやってバスケができること自体が幸せだし、本当に……普通にバスケできることがどれだけ素晴らしいかということを噛みしめながら、楽しくバスケしてます」
チームとしての結果は芳しいものとは言えないとしても、東京羽田に移籍してきたことは髙原にとっては正解だった。対戦相手として抱いていた東京羽田への印象は、いざチームの一員となっても変わらず、仲間や環境に恵まれた中でバスケットと向き合うことが楽しく感じられるというのが、髙原の率直な想いだ。
「私がアイシンにいたときから、外から見てても良いチームだなと思うくらい魅力あるチームでしたし、実際にチームの一員となってやってる中で、本当にどこのチームにもその良さは負けてないと感じます。みんながチームメートのことを心から応援できる、信頼しているチームだと思います。
ホームゲームも雰囲気が他と違って、それも敵として圧を受けてきたんですけど、ファンの人たちの愛がヴィッキーズコールから全部伝わってくる。良い意味でファンの人たちとの距離が近くて、私だけでなく、勝つことで恩返ししたいという想いでみんな頑張ってると思います。ヴィッキーズは選手もスタッフも、ファンの人たちも一体になってるチーム。皆さんの応援の力を借りて、シーズンが終わるまでヴィッキーズらしいバスケットを展開していけるように頑張りたいです」
髙原は高校時代にウインターカップベスト5に選出され、世代別日本代表で世界を相手に戦った経験もある。故障なくプレーできている今シーズンは、その実力をより発揮していくという期待も高まるというものだ。東京羽田には、まだプレーオフ進出の望みが残されている。大きな壁を乗り越え、1人の人間として一回りも二回りも成長してきた髙原が、その強い想いでチームを引っ張っていくに違いない。
文・写真 吉川哲彦