プレーオフ出場という観点で考えると、東京羽田ヴィッキーズは今シーズンも厳しい戦いが続いている。第2週には昨シーズンベスト4のシャンソン化粧品を第2戦で撃破してみせたが、第4週の新潟アルビレックスBBラビッツ戦で思わぬ1敗を喫すると、皇后杯でも白鷗大に敗れてファイナルラウンド進出を逃した。萩原美樹子ヘッドコーチは「新潟に1つ負けてから、チームの雰囲気があまり良くない」と証言。メンタル面がパフォーマンスに影響を及ぼしているのは否めず、第8週は皇后杯ファイナルラウンド明けでやや疲労の色が見えるデンソーがオフェンス面で苦しんだにもかかわらず、東京羽田はそれ以上に得点が伸びず、主導権を奪えないまま連敗。この時点で3勝13敗となり、いわゆる “借金” は10に達している。
とはいえ、シーズン中盤から穴澤冴と森美麗のルーキー2人が急速に存在感を増しているように、選手個々では良いパフォーマンスを見せている選手もいる。髙原春季も、開幕当初こそインパクトが薄かったものの、新潟に敗れた試合で15得点を挙げてからは状態が上向き、スターター起用も増える中で安定した得点力を発揮している。
ただ、それがチームの結果に必ずしもつながるわけではないというのがバスケットの難しいところであり、好調な分だけ相手からの警戒も強まる。日立ハイテクと戦った1月2日の第9週第1戦も、第4クォーター残り8分23秒の時点で9点あったビハインドを徐々に縮め、残り1分55秒の樺島ほたるの3ポイントで一旦は逆転に成功しながら、その後再逆転を許して1点差の悔やまれる敗戦。試合の立ち上がりで勢いを作れず、追う展開を強いられるという今シーズンの傾向がこの日も表れてしまった。厳しいマークに遭い、3ポイント2本の6得点に終わった髙原も悔しさをにじませる。
「今日は出だしの差が最後の点差につながったと思います。それ以外は良かったので、本当に出だしに尽きると思います。個人としても今日はもう全然ダメでしたね。シューターなので、どの相手とやるにしても厳しく守られるところで、今日もちょっと圧というか距離を詰められてるのは感じました。ディフェンスも相手が来るとわかっているのにやられてしまった部分、大事なときに私のところを突かれてしまった部分があったので、そこをしっかり守れるようにならないといけないと思います」
髙原は「チームとしてもしっかり準備している。今日の試合でも各自修正点は見えてるし、やるべきことをやれば勝てる」と、チームとしての自信は失っていない。これはチームに対する信頼の強さであると同時に、自身のパフォーマンスに一定の手応えがある現状で、いろんなことを前向きに受け止められるという精神的な要素が働いているところもあるに違いない。東京羽田に移籍してきた昨シーズンは開幕前のケガで出遅れてしまったが、今シーズンは現時点で全試合に出場。心・技・体の “体” に不安がないことが、“心” の部分にも良い影響を与えている。
「昨シーズンはケガの影響もあって、自分の気持ちと体が上手く連動してくれなくてもどかしかったんですけど、今シーズンはコンディションの面が安定してきて、自分のしたいプレーが100%できてるかといったらまだまだなんですけど、やりたいことが少しずつ安定してできるようになってきてはいるので、コンディションが悪いときに比べるとメンタル的にも全然良いです。これからはもう少し精度を上げて、技を極めていけるようにしたいと思ってます」