未来を見据えて今を生きる
174センチの大型ポイントガードとして期待される森岡は、現在、Wリーグで15試合に出場し、うち3試合でスタメン出場を果たしている。
「今は1年目ですけど、いいプレーや悪いプレー……ミスもたくさん経験しながら、その経験をこれからに繋げていく時期だと思っています。ミスしても落ち込まないで、今できることを、自分らしくどんどん挑戦していきたいと思っています」
ウインターカップ2022での活躍は、彼女たちのキャリアにとって通過点に過ぎない。その後、アーリーエントリーでそれぞれのチームに加入して1年が経とうとしている。今この時期をどう過ごすかが、彼女たちの夢の実現にもつながっていくはずだ。
キレのあるスピードを売りとする横山は、14試合に出場しているが、Wリーグの首位を走るチームにあって、スタメン出場はまだない。しかも総出場時間の109分は、3人のなかでも最も少ない。
「自分は今タフな状況が続いているんですけど、そういうタフな状況を耐え抜く力っていうのをすごく感じています。でも、ここを乗り超えたら強くなれると思うので、その過ごし方を大切にしています」
3人のなかで最も出場試合数が多く(18試合出場。スタメン出場は1試合)、一方で3人のなかで ── というより、Wリーグの現役選手のなかでもわずか4人しかいない150センチ台(158センチ)である都野が続く。
「自分は試合に出られるときもあれば、出られないときもあるんですけど、出たときにはしっかりガードとしてのコントロールを……高校のときとはまた違ったコントロールの難しさがあるので、そこをしっかり実践で学んでいけたらいいなと思っています」
それぞれが、それぞれの立ち位置で、しっかりと前だけを見据えている。
女子日本代表は近年「ポイントガードは3人」といった流れが定着しつつある。いつ崩れるかはわからないが、それが続くのであれば、「3人でその枠を埋めたい」という思いもあるのではないか。そう問うと、顔を見合わせながら「やりたいよねぇ」「やりたいです」「うん、やりたい」と確かめ合っていた。
注目すべき絈野だけではない。むろん都野、横山、森岡だけでもない。女子日本代表候補がパリ2024オリンピックを目指している裏で、その先の舞台を夢見て、真摯にバスケットに取り組んでいる若い選手たちもいる。
文・写真 三上太