軽くトップクラスになるぐらいのシュートセンスを持つアーリーエントリー
2022年夏に新設された新人インカレ プレ大会(全日本大学バスケットボール新人戦)で、得点王となった東海大学九州の森口朱音。4年生となった今シーズンの大学日本一を決めるインカレ(第75回全日本大学バスケットボール選手権大会 )での再会を楽しみにしていた。九州大学リーグでは平均26.1点(リーグ2位)、3ポイントシュートは40本を成功させてトップに立つ爆発的なオフェンス力が魅力である。しかし、東海大学九州は4位となり、2年連続インカレへの出場権を逃し、早々に大学バスケを引退する結果となった。
「シュートセンスに関しては、もう図抜けた部分がある。このまま成長していければ、Wリーグの中でも軽くトップクラスになるぐらいのシュートセンスは持っている。今後も少しずつだが試合に出場させ、慣れさせていきたい」
全国大会にこそ出られなかったが、アイシン ウイングスの梅嵜英毅ヘッドコーチは森口をこう評価し、186cmの #33 大舘真央とともに 東海大学九州から2人をアーリーエントリーで迎えた。2024年最初の試合となった1月2日のトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦、第1クォーター開始6分47秒、早くも森口に出番が巡ってきた。ボールを受けるや否や、3ポイントシュートを放つ。1本目はリングに弾かれたが、2本目を見事に成功させ、初得点を挙げた。
「大学とは違う素晴らしいステージで、今まで画面でしか見てなかったところに自分が立つことができてすごく光栄です」
大阪出身、明浄学院高校へ進んだが、全国大会に出場した経験はない。その後の東海大学九州でも、インカレを経験したのは2年次の1回のみ。コロナ禍によって大会が中止や縮小していた時期であり、3年生も出場できた新人インカレがあったからこそ、森口は得点王となってインパクトを残すことができた。従来どおりに2年生までの大会となっていたら、アイシン入りもなかったかもしれない。まさに、シンデレラガールである。
トヨタ紡織戦の出場時間は17分12秒。13点を決め、上々のデビューを飾った。「まだチームのシステムとかは完璧に分かっていないので、とりあえず自分はシュートを打つために出されていると思っています。試合に出る前にも、梅嵜さんから、思い切って空いたらシュートを打てと言われたので、空いたら全部打とうと思って出ました」とその役割は全うできた。得点力あるポイントガードとして起用されているが、「パスがあまり得意ではない」という課題は実戦を通して成長していけば良い。
大学の勢力図として、有望な選手が集まる関東勢と比較すればフィジカルの差を痛感するチームは多い。東海大学九州も同じく、ましてやインカレに出られていないことで強度の差は否めない。最高峰Wリーグにおいて、ディフェンスでは苦戦を強いられていた。
「この試合を通しても、自分のディフェンスは本当にダメだなと思いました。フィジカルの部分もそうだし、スピードの部分でも。もっと上手い選手を相手にもしっかりと守れるように、これからトレーニングをしっかり積んでいきたいです」
合流したばかりの森口に対し、梅嵜ヘッドコーチも「ディフェンスに関してはチームとして練習していく上で覚えていくしかない。アーリーのこの時期は、とにかく点を獲ることに集中させたい。何でもやれと言っても、まだまだ不可能に近い。せっかく同じポジションの吉田(亜沙美)や酒井(彩等)らがいるので、しっかり学んでくれれば良い」と長い目でその芽を育てはじめた。