オフェンスでもディフェンスでも攻撃的に
Wリーグ オータムカップ in 奥州で唯一敗れた日立ハイテク クーガーズに開幕戦で勝利し、幸先良い新シーズンを迎えたように見えた三菱電機コアラーズ。しかし、その後は黒星が続き、目下7連敗中である(※11月5日現在)。名古屋ダイヤモンドドルフィンズのアシスタントコーチだった高田紘久が、今シーズンより新たに三菱電機の指揮を執る。「コアラーズの試合などは見ていましたが、女子バスケに関わるのははじめて」である。
脇を固める友利健哉アシスタントコーチも現役を引退したばかりであり、昨シーズンまで福島ファイヤーボンズでプレーしていた。三菱電機のOGであり、元日本代表の王新朝喜にとっても、コーチとしてベンチ入りするのははじめての経験となる。高田ヘッドコーチは「僕もはじめての経験が多く、王も友利もアシスタントコーチという職業ははじめて。試行錯誤しながらも前に進もうとしています」というのが現状だ。昨シーズンまでチームを率いた古賀京子元ヘッドコーチはゼネラルマネージャーとなり、スタンドからその姿を見守る。高田ヘッドコーチは、となりで練習する古巣の名古屋Dのスタッフにアドバイスを求められる環境を活かし、友利コーチと王コーチは選手たちの気持ちを汲み取る役割も担い、新米コーチたちが新生コアラーズを上向かせるために奮闘している。
「オフェンスでもディフェンスでも攻撃的に、それを全面的に押し出していこう」とテーマを掲げ、今シーズンを迎えた。選手たちのプレーを見た高田ヘッドコーチは、「ボールを持ったときに一点しか見えていない。最善の形を見つけ出せていない」ことに着目する。
「もう少し視野を広げて、さまざまなアクションがあることを伝えています。経験を積むことはもちろんですが、何よりも目の前で起こっていることを理解する。それを僕はすごく大事にしています。先をどうこうではなく、目の前で起こっていることに対してのプレーを要求し、最善の形を常に取れるようにする。その流れをどれだけ僕が汲み取りながら選手たちに伝えることで、今まで見てきたものとは違う景色が見える部分もあると思っています」
ポテンシャルの高い選手たちだからこそ、その可能性を広げるために高田ヘッドコーチも努力し、はじまったばかりのWリーグで実践している。経験を積ませるために、タイムシェアをしながら多くの選手をコートに送り出す。昨シーズンは平均7分程度の出場時間だった笠置晴菜を先発ポイントガードに据え、188cmのダフェ ハディも積極的に起用する。2人とも、まだ8試合しか消化していないにも関わらず、すでに昨シーズンの出場時間を超えた。ハディとともに、ルーキーの紺野つばさのインサイド陣は試合中にもコート上で成長を見せる。高田ヘッドコーチは「彼女たちは異なる環境での生活に不安なところもあると思うけど、本当に明るくチームに良い活気をもたらしてくれています」と話し、長所を最大限引き出せるように努めている。