「お話をいただいて、微力かもしれませんがやっぱり私の恩師である先生の力になれればいいなと思って、このタイミングで引退を決断しました。コーチをしたいという希望は特になかったんですけど、いろんな方とお話をさせていただく中で、やっぱり恩返しがしたいという想いがありました。まだ合流して間もないんですけど、学生たちが少しでも成長できて、Wリーグの選手のような素晴らしい選手になれるように、他の人たちと協力して一緒に頑張っていけたらいいなと思っています」
コーチライセンスの取得もこれからであり、今はまだコーチ業の全てを勉強中。それでも、何度も大ケガに悩まされてきた自分にしかできない指導もあると考え、全ての経験を指導に生かしていきたいと思っている。
「今までは競技者として自分がプレーする立場でしたけど、これからは言葉で伝えてやってもらうという、また違った角度からのアプローチになるので、伝え方や表現の仕方を勉強しながら、私自身も成長していかないといけないなと思ってます。何回もケガをしたからこそ、外からコートへ視線を送るという経験もたくさんしてきたので、コート内とコート外の両方の角度からわかることを学生たちにも伝えていきたいです」
新たな道に進んだ今は、その道を選んだことを少しも後悔することはなく、ただ前進あるのみ。ただ、6年過ごした新潟を想う気持ちは持ち続ける。お世辞にも恵まれた環境とは言い難く、苦しいことも多かったが、支えてくれた人への感謝は決して忘れることはなく、残された後輩たちにも惜しみなくエールを贈る。
「新潟のブースターの方は近くで応援してくださっていて、どの試合もどんな状況でも最後まで応援していただけたので、私にとってはこの6年間は全て良い思い出で、幸せな時間でした。バスケットをする中で、たくさんの人に支えられているということをすごく実感できました。私たちはそれがあって、こうしてバスケットができている。感謝の気持ちでいっぱいです。ブースターさんの想いはすごく伝わってきています。でも、どの選手もこういうタイミングは来ると思うので、今後も引き続き新潟を応援してくれたらいいなという想いです。
チームは年々若くなっていってるんですが、個性豊かでいろんな力を持っている子たちだし、その力を発揮して多くの試合を勝ってほしいです。支えてくださる方の存在を大切にということは、今後残る選手たちにも伝えていきたいですし、そういう選手たちを引き続き応援していただけたら嬉しいです。今シーズンは後輩の頼もしい姿を見ることもできたので、私も応援していきたいと思います」
オールスター後に行われた関東大学女子選手権(スプリングトーナメント)で、北川は日体大のACとしてベンチ入り。後に優勝を果たす白鷗大に準々決勝で敗れたが、順位決定戦を勝ち上がって5位となった。今後、日体大はどう強くなっていくのか、北川はどのようなコーチになり、どのような選手を送り出していくのか。新たな挑戦が幕を開けた。
文 吉川哲彦
写真 W LEAGUE