第1戦は40分間コートに立ち続けた渡嘉敷は、「ちょっとエネルギーが足りなかったかな」と驚きの反省点を挙げる。迎えた第2戦はプレーだけではなく、「盛り上げ方とか見せ方。他のメンバーも緊張があり、不安になっていたのかなって反省しました。なので、今日はとにかく盛り上がってハッスルしたら、みんなも乗ってくれるんだろうなって思っていたので、そういう部分でもチームの勝利に貢献できたのかなって思います」という結果となり、1勝1敗で追いついた。
体格的に遜色ないトヨタ自動車の2人を相手にするだけでも、エネルギーはかなり消耗する。第2戦はソハナに12点、8リバウンドを許したが、ファウルアウトへと追いやった。渡嘉敷自身はこの日も17点を挙げ、リバウンドは3つプラスし、14本。普通に守っても止められない渡嘉敷に対するハードファウルもあり、「最後の(ソハナに受けたファウル)は結構効きましたね。いつもよりエネルギーを使いました」とチームのため、勝利のために身体を張り続けた。3連戦は体力的にもきつくなる。しかし、そんな不安を笑顔で一蹴する。「明日は19時ゲームなので、しっかり休めるなと思っていました。今日の試合で全部出し切っても、明日になったらまたがんばれる」という言葉どおり、ガソリンを満タンにして最終戦のコートに帰ってきた。
互いに負けられない気持ちのぶつかり合い
バスケの神様も勝利の女神も、この戦いをもっと見続けていたいと思ったのだろう。40分間では終わらせず、2度の延長までもつれこんだ最終戦。最後に笑ったのはENEOSだった。梅沢とソハナとマッチアップした渡嘉敷は「正直苦しかったです。それでも、みんなが信じてくれたのが本当にうれしかったし、それで踏ん張れてましたね。誰が相手でもやるしかなかった。でも、本当にきつかったです」というコメントが、想像を絶する50分間の戦いを物語っていた。
最後まで渡嘉敷を崩せなかったトヨタ自動車の大神雄子ヘッドコーチは、「誰もが認める実績があり、リスペクトする選手。今シーズンはどのチームのビッグマンを相手にも、ゲームを支配してきた選手。樹奈やソハナが1人で守ろうとするのではなく、チームとして2人をどうサポートするかというゲームプランだった。ファウルにはなったが、それはファイトした証拠。まだまだ若い選手が向かっていく中でやられたところもあったが、それまでの過程を見れば大きく成長した」と評価する。4か月前に20点差で敗れた皇后杯準決勝では、渡嘉敷に32点を許していた。それを半分程度に抑えたところに成長が見られている。