40分間コートに立ち続けたあと「ちょっとエネルギーが足りなかったかな」と反省
歴史に残る好勝負となったWリーグ ファイナルは、1週間以上経った今でもBリーグの会場や愛犬の散歩中に話題となり、あの興奮を思い出させてくれる。
近代バスケは3ポイントシュートが主流だ。LAレイカーズの八村塁が活躍するNBAプレーオフでは、3ポイントシュートを打った地点が数値化され、その飛距離も注目のひとつ。パワーフォワードの八村も効果的に3ポイントシュートを決め、連続20点オーバーで活躍中。NCAAはFIBAルール(6.75メートル)より若干近い6.32メートル。マーチマッドネスで女子準優勝となったアイオワ大学のエース、ケイトリン・クラークは平均してNBAサイズの7.24メートル地点から3ポイントシュートを放ち、高確率で決めた。ステフィン・カリーを彷彿とするその活躍が話題と呼んだ。
Wリーグ ファイナルでもトヨタ自動車アンテロープスは山本麻衣がディープスリーを決め、後がなくなったENEOSサンフラワーズは長岡萌映子、高田静、そして最後は林咲希が6.75メートル超からゴールを射貫いた。しかし、そんなトレンドから逆行するように、ペイントエリアで繰り広げられるガツガツとした攻防こそが、このファイナルを盛り上げた要因だと感じる。佐久本智ヘッドコーチは「渡嘉敷のところにボールを入れて展開するスタイル」を強みとしていた。
ENEOSのキャプテンであり、193cmの大黒柱、渡嘉敷来夢は「やっぱり年下には負けられない」と強気でゴール下を制する。対するトヨタ自動車は、190cmの梅沢カディシャ樹奈が古巣を相手に奮闘。187cmのシラ ソハナ ファトー ジャがベンチに控え、ツープラトン攻撃で渡嘉敷を襲う。第1戦こそ敗れたENEOSだが、渡嘉敷自身は安心の経験と実績で17点、11リバウンドでチームを引っ張る。守っては年下の梅沢を2点、ソハナも6点に抑え、いずれも4ファウルを与えた。40分間コートに立ち続けた渡嘉敷は1度もファウルをしていない。マッチアップする梅沢の成長を認めつつも、シャットアウトした渡嘉敷は自信に満ち溢れていた。
「ENEOSのときよりも今はすごく積極的ですし、リングにアタックしていく姿勢が多かったです。でも、しっかりと映像を見て、ポジションの取り方をアジャストした感じです。梅沢選手にポストアップでやられた印象はないので、また明日もそこはブレずにやっていきたいなって思います」