「何で貢献しようかってめっちゃ考えたんですけど、練習で1本良いオフェンスリバウンドを取れて『あ、これだ』と思って、今日はまずリバウンドに飛び込むことを意識しました」
アグレッシブにプレーする意識が、リバウンド以外のプレーの積極性も生むことにつながった。三菱電機戦の後、「自分の得意なドライブからの得点をまだ決められていないので、それをファンの皆さんにも見てもらいたい。ENEOS戦は絶対に1本は取ってこようと思います」と宣言していたのだが、それを見事に実行。「三菱戦のときに自分が言ったことを思い出して、『やったぞ』って思いました。『約束守れた!』って(笑)」と満足感も得ていた。
しかし、中断期間が明けた2月24・25日のデンソー戦、本人いわく「考えすぎるとあまり良くないところがある」という津村は、チームの約束事に意識を傾けすぎてしまい、自身の出来に今一つ納得できなかった。
「この1カ月は考えて考えて練習してきたので、昨日今日の2日間はちょっと思いきりが足りなかったなと思います。考えてプレーすることは大事なので、あまり大きい声では言えないんですけど(笑)」
チームスポーツである以上、遂行すべきチームプレーがあるのは当然のことだが、本能的なプレーが津村の魅力であることも事実。ENEOS戦に関しては、「練習の回数も少なかったので、ほぼ気持ちでいきました。バスケができる嬉しさがあったので、それだけで頑張れました」と後になって振り返ったように、メンタル面がプレーのキレを生んだ。「ルーズボールに飛び込むとかリバウンドを取るというのは、考えるというよりも気持ち次第でできること」という津村の場合、考えすぎず、ただひたむきにプレーするほうが良い結果が生まれやすく、それが自分の強みでもあると認識している。
メンタル面のパフォーマンスへの影響も、津村にとっては大きなウェイトを占める部分。どの試合も強い気持ちで試合に臨もうとはしているが、「急に『ミスが怖い』って思うことがあって、そうなると実際にミスが出るし、消極的になってしまう」というのが高校の頃からあったという。そのメンタルの波がなくなってきたのが、ここ2年のことだ。
「ミスしたら結構引きずるタイプだったんですけど、最近はちょっとのことで落ち込まなくなったというか、切り替えが上手くなったと思います。以前はあまり自分と向き合ってなくて、本当にテキトーだったんですけど(笑)、この数年は自分のことをちゃんと考えるようになって、客観視できるようになりました。大人になったのかな」
そのメンタルの安定が結果に表れたのが昨シーズン。1試合平均12.0得点という数字を残し、東京羽田の得点源に成長した。だからこそ、ヘルニアに襲われたことが悔やまれるのだが、それもメンタルの安定がもたらしたものなのか、津村は自然と前を向くことができた。
「今シーズンは勝負だなと思ってたので、最初は悔しかったんですけど、『でも、これを乗り越えたら何かすごいものが待ってるんじゃない?』って(笑)。ケガに対してはそこまで悲観することなく、ポジティブに受け止められました。無理にそうとらえるようにしたわけではなくて、心からそう思ったんです。もともと体幹の弱さが課題で、リハビリ期間中にそこを集中的に強化できるというのもあったし、鍛えたらできるようになることが増えるんじゃないかという話もトレーナーさんとしていて、ポジティブに考えてましたね」