第4クォーターに明暗を分けたタイムアウト
2連覇中の “女王” トヨタ自動車アンテロープスが、京王 Presents Wリーグプレーオフ 2022-2023 セミファイナルでシャンソン化粧品シャンソンVマジックに2連勝し、今シーズンもファイナル進出を決めた。しかし、78-64で勝利した初戦は前半にリードを奪われ、そのゲームの入り方を修正した2戦目は後半に逆転を許し、シャンソンがリードする時間帯もあった。
「第2クォーターの最後にシュートを決められ、後半の入りが大事だった」とトヨタ自動車の大神雄子ヘッドコーチは、2戦目のハーフタイムに強調していた。それにも関わらず後半開始早々からパレイ ルセアネヘイララ 紀子、小池遥と連続して得点され、シャンソンに流れが傾く。大神ヘッドコーチは早々にタイムアウトを取ったがその勢いを止められず、第3クォーター残り34秒には高さを活かしたイゾジェ ウチェの得点で45-47、シャンソンにリードを奪われる。第4クォーター残り6分39秒、トヨタ自動車の馬瓜ステファニーが3つ目のファウルとなる。2点リードしていたシャンソンの鵜澤潤ヘッドコーチが、ここでタイムアウトを取った。
「まだ3つ残っていたこともあり、選手に疲れが見られていたので休ませることと、馬瓜選手のファウルが3つになったタイミングだったのでタイムアウトを取った。馬瓜選手がトヨタ自動車のポイントであり、彼女のオフェンスリバウンドやポストプレイを警戒したかった。できることならば、相手のファールトラブルで苦しい状況に追い込みたいと考え、そこをアドバンテージとして残りの時間の戦い方について指示を出したかった」
鵜澤ヘッドコーチにとっては、勝負をかけるタイムアウトだった。対して、「相手に取ってもらえたことで、どちらかと言えばラッキーだった」という大神ヘッドコーチにとっては、すでに1回使っている苦しい状況にタイムアウトを欲していた。「この試合の流れを見ても、やっぱりタイムアウト取った方が後手に回っている感じがあり、自分もすごく我慢していた。川井(麻衣)と山本(麻衣)にベンチから言葉で伝え、ディフェンスリバウンドを徹底させていた」中でめぐってきたタイムアウトにより、ゲームは一転する。
その後、山本麻衣が3ポイントシュートを決め、53-52と逆転に成功。そこから畳み込むように女王が強さを見せる。大神ヘッドコーチの思惑どおり、後手にまわってしまった鵜澤ヘッドコーチはあっという間に3つのタイムアウトを消化していた。
「僅差の拮抗した時間帯にリバウンドで相手につながれてしまった」と鵜澤ヘッドコーチが言うとおり、20本多く取られたリバウンドの差がそのまま結果に現れた。ディフェンスとリバウンド、そしてルーズボールを徹底してきたが、「最後はさすがチャンピオンチームだったかな。試合運びがものすごく上手であり、自分たちにできた隙を見逃さずに、そこをやられてしまった」と負けを認める。対する大神ヘッドコーチは、初戦でシャンソンにオフェンスリバウンドを奪われた反省点を活かす。「相手に教わるとはまさにこういうことであり、今日は私たちのガード陣がしっかりリバウンドに絡んでくれた」と成長した姿を見せたトヨタ自動車が、66-56で勝ち切った。