Wリーグは4月1日からプレーオフに入る。その枠は8つ。必然的に、他の6チームは3月19日のレギュラーシーズン最終戦で2022-23シーズンの全日程を終えたことになる。
山梨クィーンビーズもその1つだ。昨シーズンはWリーグが現在の形になってから最多の6勝を挙げ、今シーズンこそはプレーオフ進出をと意気込んでいたはずだが、ヘッドコーチが代わり、水野菜穂(現・東京羽田ヴィッキーズ)の移籍など選手の入れ替えも多く、新しいチームの形を構築する状況。5勝にとどまり、順位も下げる結果となった。
ただし、移籍や引退が多かったということは、代わってチームに加わった新戦力も多かったということ。彼女たちの今後の活躍が、チームの新しい歴史を作ることにもつながるだろう。今シーズンの山梨の場合、大卒ルーキーは1人だけで、他の新加入選手は移籍してきた選手だった。他のチームを見てきた選手たちは、山梨の地で何を感じ、何を得たのだろうか。
浜松開誠館高からシャンソン化粧品に進み、アーリーエントリーも含めると3シーズンプレーした石田悠月は、昨シーズンは地域リーグの秋田銀行でプレーしていた。山梨に移籍してきたのは、金子寛治HCからの誘いによるもの。同じ東海地域の安城学園高を指導していた金子HCは、高校時代から石田のことをよく知っていたようだ。
「急に話がきましたね。点を取る選手というのが頭にあったみたいで、それをどんどんやってほしいということで声をかけてもらいました。高校時代から知ってるというのもありましたし、シャンソンにいたときも何回か接点はあったので」
山梨に加わった石田は、「雰囲気は良くて、先輩方もラフな感じで接してくれますし、バスケット的にもやりやすいというか、いろいろ挑戦もできるような雰囲気はありました」という印象を持ったという。高いレベルでプレーしたいという気持ちは、シャンソンに在籍していたからこそ強く、モチベーションも高い状態で新しいシーズンを迎えた。
「秋田銀行と比べると、対戦相手が違うじゃないですか。レベルの高い人たちを相手にやると自分自身ももっと上を目指したくなるので、そこで練習の取り組み方も変わりますし、自主練も頑張れるし、自分に足りないところも実感できる。シャンソンでは力を出しきれない部分があって、そこで疲れ果ててしまったところも正直ありました。もう1回Wリーグで挑戦できるとなったときは『やってやろう』という気持ちが強かったです」
シーズン終盤には16分45秒の出場で14得点をマークした試合もあったが、シーズン全体を通して見ると出場時間は多いとは言えなかった。古巣のシャンソンをホームに迎えたレギュラーシーズン最終週も出場時間は限られてしまったが、それでも自信は失わず、理想を求め続ける。支えになる人たちの存在も、大きなモチベーションだ。
「最近の練習は積極的にできてる部分がありますし、やらせてくれたらできるなっていう自信はあります。コートに立ってるときに、一気に試合の流れを変えられる選手になりたいです。メッセージもたくさんくださるファンの方たちに活躍してる姿を見せたいし、家族にも応援してもらってるので、みんなを笑顔にしたい。シャンソン時代からのファンの方も含め、応援してくれる人たちのありがたさをすごく感じてるので、恩返ししたいです」