ディフェンスの向上が躍進の要因
アランマーレ秋田(プレステージ・インターナショナル アランマーレ)の2シーズン目が終わった。17年ぶりにWリーグへ新規参入してきた昨シーズン、「間違っても勝てないだろうと思って臨んだところ2勝できた」というのは小嶋裕二三ヘッドコーチである。アイシン ウィングスから移籍してきた北川愛理とともに、5人のルーキーとシーズン途中には3人のアーリーエントリーで有望な若手を迎え、戦力を整えて迎えた2年目。練習場が新たに完成し、環境も整ったことで「間違ったら勝てるかも」と小嶋ヘッドコーチの期待どおり、8勝を挙げた。2月25日、アイシンに勝利した時点では8位に位置づけ、プレーオフ圏内にいた。しかしそこから7連敗、14チーム中10位で早々に今シーズンの幕を閉じた。
8勝まで白星を伸ばした喜びと、目標としていたプレーオフに届かなかった悔しさが入り交じる。最終戦は富士通レッドウェーブに45-70で完敗。試合を終えた嘉数唯は、「プレーオフに行けるかもしれないっていうラインが先週の試合まであったのに、やっぱり最後は勝ちきれなかったです。上位チームに対して、自分たちのバスケットができずに終わってしまったことが悔しいです。でも、そこで得た課題を自分たちで改善して、来シーズンこそはプレーオフ進出できるようにがんばりたいです」と前を向いた。
1月1日、3位となった三菱電機コアラーズに61-57で金星を挙げ、2023年が幕開け。この勝利を含め、上位9チームから3つの白星を得ることができた。「良いピークを全員が出せば、ある程度の力は出せることを実感できたシーズンだった。ただ、8勝のうち6つが1勝1敗だったのであらためて2つ勝つことの難しさ、今のチームに足りないものが明確になってきたという気もする」と小嶋ヘッドコーチは総括する。
2勝から8勝へ躍進した要因として、「選手一人ひとりの力量が増えたことがひとつ。プラスして、ディフェンスがだいぶよくなってきた。ディフェンスでリバウンドをきちんと獲れるようになったので、攻撃回数が昨年よりもだいぶ増えた。守れるようになったことで、攻めることもできた。それが一番の改善点」と小嶋ヘッドコーチはチームを上向かせた。
ルーキーの嘉数にとっても、「1on1が自分の中では課題でした。ミスマッチの大きい選手に対して、工夫して1on1からフィニッシュまで行くことに取り組んできたので、そこを強みにしていきたいです」という174cmのパワーフォワードは、高さに屈しない技術を少しずつ身につけている。加えて、ウォームアップ中からスリーポイントシュートを積極的に打ち、最終戦の富士通レッドウェーブでも2本を成功させた。「スリーポイントを打つことによってディフェンスを引き寄せることができるので、大きな武器だと思っています。最近は、より積極的に狙うようにしていました」という嘉数は、40.4%の確率が自信となった。