大神雄子は挑戦し続ける
チャンピオンの座にとどまるのではない。
シーズン前はいつだって横一線。
だからゼロからスタートして、今シーズンの頂へと押し上げていく。
「今シーズンは、シーズンが始まる前からずっと話しているんですけど、皇后杯とWリーグの2冠を目指しています。過去2シーズンはWリーグこそ優勝していますが、皇后杯を含めるとすごく波がありました。確かに皇后杯で負けた後のチームがどのように上がっていくのか、その持っていき方やエナジーはすごかったんですけど、今シーズンは、シーズン通して自分たちの目指すバスケットを毎試合しっかり表現することを大事にしています。それが自分たちの求める一番いい結果に繋がると思うので、それを目標としてやっています」
オンラインで行われたこのインタビューは、皇后杯・ファイナルラウンドの一週間前に行われている。
結果として今シーズンも皇后杯がトヨタ自動車に下賜されることはなかった。
ただ、ENEOSサンフラワーズとの激戦は、今の自分たちを表現した結果であり、それがWリーグ後半戦への準備にもつながっていくはずだ。
「まずはいい準備をすること。選手にはいつも言っていますけど、良い習慣を身につけることがいい準備にも繋がります。それは私自身にも言えることですし、シーズン通してずっとやっていきたいなと思っています」
深夜にワールドカップ観戦など、選手たちにいい準備を求めるヘッドコーチのすることではなかった。
「コーチとしての今後のキャリアに関しては、自分自身をもっともっと伸ばすために、たくさん挑戦しなければいけないし、学び続けなければいけないし、経験もしなければいけません。ありがたいことに今シーズン、こうやってトヨタ自動車アンテロープスでヘッドコーチとしての最初の経験させてもらうことは、自分ひとりではできないことです。まずは1年目のシーズンを思い切って挑戦していきたい。その先にしか次のキャリアは生まれてこないので、まずは今シーズンの目標をしっかりとした準備力で進んでいきたいと思います」
そして、続けて発した言葉に、大神のこれまでには感じられなかった決意が感じられた。
「あとは、女性コーチといった側面で、私は『繋ぐ』という使命もあると思っています。最近はアメリカでも女性コーチが多いですし、FIBAでも、FIBAのプレーヤーズコミッションでも女性のコーチ、女性のレフェリーの数をこれから何%上げていくというアプローチがなされています。レフェリーは実際に増えていますから、コーチのほうを、自分がきっかけになれるのであればいいなと思っています。コーチってこんなに面白いんだ、コーチという職業はいいなと思ってもらえるような、そんな繋ぐ役目も担っていきたいですね」
選手時代、最後までその歩みを止めなかった大神雄子は、コーチになっても歩みを止めようとはしない。
すべては愛するバスケットボールのために。
日本の未来のために。
トヨタ自動車アンテロープス 大神雄子ヘッドコーチ
Days of Journey ~旅路を大切にして~
前編 https://bbspirits.com/wleague/w22122601ta/
中編 https://bbspirits.com/wleague/w22122702ta/
後編 https://bbspirits.com/wleague/w22122803ta/
文 三上太
写真 W LEAGUE