家族との温泉旅行で羽を伸ばすことができた平下は、「気持ちも体もしっかり休めることがあの1週間でできたので、本当に休みをいただいたことに感謝しています」とリフレッシュできたことで、3本の3ポイントシュートを決める活躍を見せた。2020-21シーズンよりアーリーエントリーでトヨタ自動車に加入した平下は、翌シーズンからプレータイムを与えられ、2連覇に貢献。これまでの2年間で自信をつけた「3ポイントシュートと走るプレー」を継続しつつ、3連覇に向けて「3年目なので、自分が3ポイントシュートを打ってくることはどのチームも分かっています。今シーズンはそれだけではなく、レイアップやジャンプシュートなどいろんなシュートにチャレンジしていきたいです」と述べ、さらなる進化が期待される。
大神雄子ヘッドコーチのフィロソフィー「常に上機嫌で、自分の機嫌は自分で取れ」
選手として国内外問わず、数々の経験をしてきた大神ヘッドコーチも、この試合は「やっぱり緊張しますよ」と初々しさを見せる。「ゲームの中ではいろんなシチュエーションが出てきますし、どんなことも正解はない。マイウェイのコーチングをどう出していくか、(開幕戦は)一番最初に表現できるときでもあり、やっぱりすごく緊張しました」という大神ヘッドコーチのフィロソフィーは「常に上機嫌で、自分の機嫌は自分で取れ」である。
「自分も情熱ある熱い人なので、時にブワッと選手たちにあたることもあるとは思うんです。でも、それをポジティブにみんなが回転できるように、そのためにもゲームが終わった後は常にポジティブに、上機嫌で選手と接したいなと思っています。ただし、厳しくするところがあった上での話です」
緊張があり、情熱溢れる大神ヘッドコーチだが、空回りすることなく冷静に指揮を執っていた。第4クォーター、ENEOSがプレッシャーディフェンスで追い上げを見せる。4分を残した時点で、トヨタ自動車は早々に3つ目のタイムアウトを取った。追い上げられている展開であり、早すぎるのではないかとまわりに思われていることも大神ヘッドコーチは理解する。それでも、「ちょっとでも流れが悪くなったら断ち切ろうという思いがまずありました。 若いチームなので早めに流れを断ち切って、先手を取って行こうと思っていました」と冷静に状況を見極めていた上でのタイムアウトだった。
「若い選手たちだからこそ、勝つことで自信をつけられる」ことを大切にし、若き新指揮官にとっても大きな1勝となった。勝ったことで「怠慢にならないように、自分たちがどうやってコントロールするか。自分自身もそうですけど、そのために準備を怠らずやっていければ良いなと思っています」と話し、一夜明ければすぐにやって来る2戦目へ向けた準備へと切り替えねばならない。
敗れたENEOSにとっても同じである。初勝利を目指す佐久本ヘッドコーチも、「流れが悪かったところを改善し、後半のような良い流れを前半から作れるようにしっかりと修正していきたい」と述べ、10月20日(木)19時より同じく代々木第二体育館で2戦目が行われる。
Wリーグ公式応援アーティスト『フィロソフィーのダンス』の登場は18:20を予定しており、昨日よりも早めに会場集合だ。
文・写真 泉誠一