ENEOSに23本のターンオーバーを与えたディフェンスの勝利
Wリーグ新シーズン開幕。2連覇中のディフェンディングチャンピオン、トヨタ自動車アンテロープスはENEOSサンフラワーズを相手にワンサイドゲームで強さを見せる。開始6分、平下愛佳が決めた3ポイントシュートで9-7として以降、一度もENEOSにリードを許すことなく最大30点差まで引き離す。後半になり、ENEOSはケガ明けの林咲希を投入すると、すぐさま3ポイントシュートを決めた。出場時間が制限される中で14点を挙げて意地を見せたが、70-57の13点差で逃げ切ったトヨタ自動車が開幕戦を勝利し、3連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。
開幕2日前の10月17日に40歳の誕生日を迎えたトヨタ自動車の大神雄子ヘッドコーチ。「とにかく自分たちのバスケットをやること、そして楽しんでやるっていうところだけでした。特に若いチームなので、何よりもその気持ちを大事にし、そのサポートをしようと決めていました。ちょっと熱くなっちゃいましたけどね」という新指揮官は、Wリーグ初采配での初陣を勝利で飾った。
大神ヘッドコーチはディフェンスを重視しており、この試合はENEOSに23本ものターンオーバーを与える。19本のスティール数もさることながら、その前にボールを入れさせないディナイディフェンスや、ボールに触れてリズムを狂わせるディフレクションを大神ヘッドコーチは評価する。ディフェンスを成功させたからこそ、「次に点数につなげられるかどうか」にもこだわり、その成果として点差を開いていった。
ミスが続いたENEOSは、「渡嘉敷(来夢)が中心ですが、そこに固執しすぎて狙ってしまった分、みんなの思い切りの良いプレーができず、ミスにつながってしまいました。逆サイドなどに展開してから渡嘉敷を軸にプレーする形につなげられれば良かったです」と反省点を挙げる佐久本智ヘッドコーチもまた、今シーズンから新たに指揮を執る。ワールドカップに出場した日本代表活動に主力選手を送り出し、またチームの要となる林や岡本彩也花をケガで欠く中での準備不足が露呈した。
日本代表に関しては、トヨタ自動車も同じ状況である。大神ヘッドコーチはワールドカップを戦い終えた代表組に約1週間の休暇を与えた。代表期間中は合宿が続き、自分の家でゆっくり眠ることもできないストレスを解き放つ時間の必要性を自らが経験している。開幕まで2週間ほどしかない中でも、その時間を大事にした。
「代表選手たちには、とにかくバスケットから離れて欲しかったです。残るメンバーは6月から活動をスタートし、とにかくやるべきことを徹底してきました。しっかり休んでリフレッシュした代表選手と、今までトヨタのバスケに対する練習をずっと行ってきたメンバーが一緒にできた練習自体も4〜5回でしたが、しっかりとみんながこの試合で表現してくれました」