6月16日から7月1日にかけて発表されたBBS AWARD 2021-22において、筆者は3本の表彰記事を担当した。そのうちの2本はWリーグに関するものだったが、Wリーグといえばちょうど先頃サマーキャンプが3年ぶりに開催された。筆者は当初から取材する予定ではあったのだが、初めてBBS AWARDに携わったこのタイミングでのサマーキャンプ復活は何かの啓示ではないかと思い始め、せっかくだから改めて受賞者の2人に昨シーズンを振り返ってもらおうと考えるに至った。ある意味では、表彰記事の答え合わせに近い感覚である。
まず話を聞いたのはシャンソン化粧品の千葉歩。落ち着いた表情で取材エリアに現れた千葉だったが、「ベストトランスファー賞おめでとうございました」と話を切り出すと、千葉は「あっ! ありがとうございます! ビックリしました!」と一気に顔をほころばせた。
「記事を読んだ方に教えていただいて知ったんですけど、まさかそんな賞を貰えると思っていなくて、私のことを見てくれている方がいるんだなって改めて思いましたし、そういう方がいるから頑張れるんだとも思いました。次のシーズンもまた頑張りたいと思えたので、本当に嬉しいです」
その記事にも書いたが、千葉はシャンソンのリーグ戦ベスト4進出に大きく貢献した。移籍1シーズン目はシステムを一から覚えてチームにフィットしなければならない難しさがあり、千葉もその面で苦労したというが、それもまた1人の選手としては大いに意味のあることだった。
「そういうときに何を頑張れるか、自分があまりリズムに乗っていなくてもできることは何だろうっていうことを考えることができて、すごく成長できたと思います。新しいチームに行くことはチャレンジだったんですけど、移籍して良かったと思います」
向上心の高い千葉は、シーズン前半は慣れないベンチスタートで出場機会が限られたという過程も自らの糧にした。その成果がシーズン後半に出たという手応えもあった一方で、自身の出来にはまだ満足していない。
「プレータイムがあるかないかにかかわらず、呼ばれたときにいつでもいける準備はしておこうという気持ちでやっていました。それが結果として出たのは嬉しかったですし、チームがベスト4を達成したことも嬉しかったんですけど、個人としてはもうちょっとチームに貢献できる部分があったな、もっとやれたよねっていう気持ちのほうが強かったですね」
ただ、移籍によってバスケットに集中できる環境を手に入れたことが大きくプラスに働いたのは本人も認めるところ。そして、そのことで古巣への感謝の思いも強くなったそうだ。
「それまで以上に自分の内面とバスケットに向き合った1年だったと思います。今この環境にいるありがたさを感じますし、同時に新潟への感謝の気持ちも芽生えてきて、いろんなところで感謝を感じられました。新潟で試合に使ってもらえたからこそ、自分のことを見てもらえたと思いますし、新潟にいなければわからないこともたくさんありました。新潟には本当に感謝しています」
持ち前の向上心と、周囲への感謝の気持ちを携えた千葉は、さらに一皮むけた姿を披露してくれそうだ。