Team渋谷に篠崎、三好はTeam原宿に分かれ、いずれもファン投票により選出。最後のチームとなる仲間たちも彼女たちにボールを集め、ハイライトのようなプレーを演出していく。篠崎らしいスティールから先制をしたTeam渋谷が、前半は43-33と10点リードで折り返す。馬瓜エブリンキャプテン(トヨタ自動車)が、「ディフェンスがんばろう!」とシーズンさながらの声がけで反撃開始。本川紗奈生(デンソー)が疑惑のブザービーターを沈め、Team原宿が追いつき58-58の同点で最終クォーターを迎える。
残り39.7秒、三好が3ポイントシュートを決め、81-75とTeam原宿が抜け出す。しかし、すぐさま篠崎が対抗し、3点差に詰める。逃げるTeam原宿に対し、前から当たった本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)がスティール。速攻を止めに入った本川にアンスポーツマンライクファウルが宣告される。残り11.3秒、本橋はフリースロー1本を決め、2点差として最後の攻撃へ。コートに立つ選手たちも、会場を埋めたファンも、最後は篠崎で決めると疑うことなく視線が注がれる。そのプレーこそ阻まれたが、渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)がきっちり同点ゴールを決めて81-81とし、延長戦に突入。
ラストは引退を表明した篠崎vs三好によるガチンコ1on1。お互いにドライブでしっかりとゴールを決め、温かい拍手に包まれる。結果は92-86でTeam原宿が勝利し、三好がMVPを受賞。MIPには篠崎が選ばれた。「本気で1on1をしようとなり、今までライバルチームとして戦ってきた篠崎選手との対決は本当に楽しかったです」と三好は最高の笑顔を見せる。篠崎は「最高に楽しい時間でした。でも、やっぱり衰えたなとプレーをしていて思いました」というコメントに、まだまだできるとざわつく仲間たち。最後のメッセージを向けられた篠崎は、「8年間たくさん応援していただいて……やばぁ〜い」と胸が詰まる。ひと呼吸おき、「今日も大勢のお客様の前で最後のプレーができて本当にうれしく思います。8年間、本当にありがとうございました」と別れを告げ、華やかな球宴の幕が閉じた。
公式応援アーティスト「フィロソフィーのダンス」がスペシャルミニライブを披露。公式応援ソング「ロック★with you」からはじまり、ラスサビ前のロングトーンで満員の観客をしっかりとロックする。続いて「ドント・ストップ・ダンス」、あっという間のラストは「ダンス・ファウンダー」と怒濤のアッパーソングで畳みかけた。
「間違ったステップなんてないんだぁ♪」と歌う後ろで、選手たちがステップを踏み、各チームのマスコットも入り混ざってコートいっぱいを使った“フィロのス”ワールドを展開し、本戦前の会場を暖めてくれた。
たった3曲で終わり、物足りなさを感じてしまった方々に朗報。オールスターを最後に今シーズンのWリーグは終わったが、フィロソフィーのダンスはこれから「Love 4 You TOUR 2022」(https://danceforphilosophy.com/)が開幕する。5月14日の新潟を皮切りに12都市を回り、6月26日の千秋楽となるTOKYO DOME CITY HALLまで駆け抜ける全国ツアー。WリーグやBリーグのチームが拠点を構える街でも開催され、こちらも最高のパフォーマンスに酔いしれたい。
文 泉誠一
写真 W LEAGUE