54日ぶりに「試合ができることに感謝」
開口一番、「試合ができることに感謝」と地元記者の質問に答えたオコエ桃仁花。コロナ陽性者が出たことで、2月26日から2連戦が予定されたトヨタ自動車アンテロープス戦が中止となる。富士通レッドウェーブにとって、3月5日のENEOSサンフラワーズ戦は実に54日ぶりの公式戦だった。
チーム練習の日数も限られる中ではあったが、「とにかくやり切ろう」と声を掛け合ってこの試合に臨む。日本代表として大阪で行われた女子ワールドカップ予選にも出場したオコエは好調のまま、ENEOSとの初戦はゲームハイの15点を挙げた。しかし、全体的に試合勘に欠けるプレーが目立ち、61-80で敗れている。
182cmのオコエと183cmの宮澤夕貴が、ENEOSの190cm前後のインサイド陣を守らねばならない。先発の渡嘉敷来夢と梅沢カディシャ樹奈に加え、ベンチスタートのロー ヤシンにも13点と、それぞれ二桁得点を許してしまう。さらに、「奥山(理々嘉)さんに3ポイントシュートを決められ、中も外も相手に好きなようにやられてしまいました」とオコエは敗因を挙げた。
オコエをマークするのは同い年の梅沢である。アウトサイドに出て3ポイントシュートを放ち、逆に起動力を生かしたドライブでひらりとかわす。38.14%(※3月6日現在)と好調な3ポイントシュートが警戒されるのは承知の上である。「シュートフェイクからドライブが効くことが今日の試合で良く分かりました」というオコエは、様々なプレーでゴールを量産していった。
守っては、10cm以上高い渡嘉敷とマッチアップ。相手の得意なジャンプシュートは許容し、梅沢との「ハイローの下を守る作戦でした。でも、やっぱりジャンプシュートを決めてきましたし、パスもうまく捌かれてしまってうまくいきませんでした」と反省しきり。ENEOSとの対戦は、昨シーズンの開幕戦(2020年9月)以来であり、初戦は渡嘉敷を10点に抑えたことに少なからず成長が見られる。翌日は25点を渡嘉敷に献上したが、チームとしては72-57で1勝をもぎ取り、大きな自信を得た。ENEOSに勝利したのは2019年10月の開幕戦(61-51)以来である。
ENEOSのヤシンをはじめ、昨今のWリーグは留学生が台頭してきている。次戦(3月19日・20日)のデンソー アイリスにもアーリーエントリーのバイ クンバ ディヤサンがおり、振替開催が実施されればトヨタ自動車のシラ ソハナ ファトー ジャは先発で活躍中だ。彼女らは高さや体の強さだけではなく、高校から大学まで日本でバスケを学んだことで基礎がしっかりと叩き込まれていることもまた強みである。「190cm近い選手が増えてきていますが、自分にとっても成長できるチャンスだと思っています。身長を言い訳にせず、足を使えば勝てるとも思っているので、まずはしっかりディフェンスできるようにしていきたいです」とオコエは前向きに捉え、成長につなげている。