アランマーレ秋田(プレステージインターナショナル アランマーレ)の中島萌奈美と、東京羽田ヴィッキーズの粟津雪乃。この2人には共通点がある。
それは、今シーズン再び選手としてWリーグに戻ってきたということ。しかも、2人とも高校卒業後にWリーグでプレーし、そこから一度大学でバスケットをすることを選択している。
チームの新規参入が決定し、27歳で再びWの舞台へ
「不安があったんですけど、まさか自分がもう一度このリーグに立てるとは思っていなかったので、そういった面では喜びもありました。参入が決まった時は不安と喜びが入り混じる心境でしたね」
アランマーレの中島は、今季からチームでの新規参入が決定し、27歳で再びWリーグの舞台に立った。彼女が高卒で入団したのは、山梨クィーンビーズ。「バスケットIQとか、何もかも足りていない状態で入らせてもらいましたし、毎日ついていくことに必死でした。でも、今思えばいい経験だったなと思います」と当時を振り返る。
しかし、中島が山梨に加入したのは2013-14シーズン。不運にもチームはこのシーズン終了後、メインスポンサーの撤退が大きな打撃となり、翌年のWリーグ参戦が見送られた。(2016-17シーズンからはWリーグに復帰)
この時まだ19歳。
中島は大学で学業とバスケットの両立を選び、「よく練習試合をやっていたこともあり、声をかけてもらいました」と、当時関東2部リーグに所属していた関東学園大学へ進学した。そして4年間の大学生活を経て、2018年からは現在のアランマーレでプレーしている。
「Wリーグのレベルを知っていたので、正直、参入1年目から戦えるレベルではないことは分かっていました」
チームは後半に急ブレーキがかかり、開幕から4試合連続で30点前後の差で敗れているが、中島は冷静に今を見つめる。
チームが目指す『しつこく守り、強く攻める』バスケットについては「確実にできるようになっています。あとはそれを40分間やり通せるか」とも話し、そのためには先発ポイントガードである自分が重要であることも重々承知している。
「チームをコントロールしつつ、自分で行くところは行くという判断をもっと勉強しなきゃいけないです。自分自身、2度目の挑戦。気持ち的にはチャレンジャーという思いがあるので、1試合1試合フレッシュにやれたらいいなと思っています」
日立ハイテククーガーズとの第2戦が行われた10月31日、中島にとって嬉しい出来事があった。
中島は埼玉県入間市の出身。試合会場のウイング・ハット春日部にはこの日、ミニバス時代を過ごしたチーム『LIBERTA』の恩師と、現在そこで活動する子どもたちが応援に来てくれたのだ。
「山梨のときは応援に来てくれてもほとんどプレーを見せることができなかったですし、こうしてトップリーグでプレーしているところをまたコーチたちに見せることができたのはすごく嬉しかったです」
子どもたちは2階席から一つひとつのプレーを目に焼き付け、それぞれがノートに何かを書き留めていた。だが、第4クォーターにアランマーレの背番号13がジャンプシュートを決めた際は、全員が顔を上げ、拍手を送っていた。