求道者リツのリバウンド論(前編)より続く
ディフェンスリバウンドの極意を隠すことなく披露してくれたデンソー アイリスの髙田真希。Wリーグで6度のリバウンド女王に輝いた彼女のリバウンドは、けっしてディフェンスだけで光るものではない。オフェンスリバウンドでも彼女はチームを何度も救っている。
後編は「チームリバウンド」という考え方と、オフェンスリバウンドの極意についても髙田に語ってもらった。
たったの1本が、わずか1分が勝負を分けることもある
── ディフェンスリバウンドでボックスアウトをしても取れないときがあります。そういうときはどうしますか?
髙田 切り替えが大切です。取られて、ガッカリしている間に3ポイントシュートを決められて、もっとメンタルをやられるときがありますから。取られたのは仕方がないので、取られた後に何をするかが大事になってきます。ボールマンにしっかりプレッシャーをかけに行くなど、取られたけど、セカンドショットをさせないためのディフェンスが大切です。加えて、自分たちよりも大きい相手に対して1対1でボックスアウトをするのは難しいので、少し大きく跳ねたボールに対して、ガードやフォワードがいかに反応していくか、飛び込んでいくかが大事なのかなと思います。
── リバウンドは1人が意識をしていてもダメだと。
髙田 リバウンドに関してはチームリバウンドが大切です。全員で共通理解を持ってやらないと、4人はやっているけど、1人がやっていないときに、本当にそこに落ちたりするんです。40分のゲームで39分間ずっとやっていたのに、どこかの1分や、最後の1分だけやっていなくて、そういうときに「あのときが敗因だった」ということがよくあるんです。チーム全員で共通理解をもってやらなければいけないですね。
── ガード陣にもボックスアウトが必須だと。
髙田 そうですね、ガード陣が飛び込んでくることもありますし、ガードの選手がゴール下付近でボックスアウトをしなければいけないこともあります。特に最近のバスケットはセンターが3ポイントシュートを打つことが増え、センターが常にゴール下にいるわけではありません。ディフェンスもアグレッシブになってきているので、ミスマッチの状態でボックスアウトをしなければいけないこともあり得るんです。そういう意味でも、どのポジションでも大切だと思います。
── 跳ねたボールをどう処理するかも重要だと。
髙田 はい。最近はオフェンスの主流が3ポイントシュートになってきている印象があるので、そうするとボールが大きく跳ねるんです。ゴール下に絶対に落ちてくるなら身長差があってもいいんですけど、跳ねたりするとゴール下でボックスアウトをしていても、頭上を越えて、取られたりします。だから、ボールの跳ね方に関係なく、リングから遠い位置でボックスアウトをして、ディフェンスがペイントエリアの外でボックスアウトをすることで自分たちの内側に落ちたボールを取りに行く。身長やポジションでリバウンドスキルを分けてしまうと、リバウンドに対しての意識が低くなってしまうので、誰が相手でも同じことをするのが大切だと思います。