Wリーグプレーオフは3戦2先勝方式のセミファイナルが代々木第二体育館にて開幕。トヨタ自動車アンテロープス(西地区1位)vs 富士通レッドウェーブ(東地区2位)、ENEOSサンフラワーズ(東地区1位)vsデンソーアイリス(西地区2位)の初戦は、いずれも上位チームが白星スタートを切った。先勝したチームはファイナル進出に王手をかけたが、敗れたチームも巻き返すチャンスが残っている。五合目地点であり、まだまだ先は見えない状況だ。
エナジーを持ってみんなでアタック
79-56で快勝したトヨタ自動車のルーカス・モンデーロヘッドコーチは「予定していたゲームプラン通りにできた」と言うように、出だしから主導権を握る。リーグ最多となる1試合平均10.8本の3ポイントシュートを決めている富士通に対し、「ローテーションをしてアグレッシブに守るよう」に指示した結果、前半を2本に抑え込んだ(合計6本)。また、リバウンド数は48:31で圧倒したのも勝因である。敗れた富士通の町田瑠唯は、「元々リバウンドが強いチームということは分かっていたが、そこでオフェンスリバウンドでつながれ、フィジカルでやられてしまった」と反省点を挙げた。ゲームハイとなる20点を記録した馬瓜エブリンだが、前半だけで7本のオフェンスリバウンドを奪い、次々とチャンスを作って勢いに乗せた。
オコエ桃仁花がファウルトラブルとなり、高さで上回るトヨタ自動車に対して富士通はゾーンディフェンスをする時間帯が多かった。「今までスペーシングの使い方をたくさん練習してきた。ゾーンに対して潰せるエリアがあるのだが、そこにしっかりパスを出すことができた」というルーカスヘッドコーチの言葉どおり、トヨタ自動車が攻略する。ロスター15人中13人がコートに立ち、「エナジーを持ってみんながリングに向かってアタックできた」とエブリンは話し、ベンチメンバーも含めた全員でつかみ取った勝利である。
「残念なことに38分しかプレーを遂行できなかった」
11連覇中の絶対女王ENEOSだが、今シーズンは磐石とは言えない。渡嘉敷来夢、梅沢カディシャ樹奈のツインタワーが相次いでケガに見舞われた。「問題ない」と梅嵜英毅ヘッドコーチは話していたが、ケガにより別メニューで調整していた宮澤夕貴はベンチスタートとなる。前半は36-36と同点で折り返したが、高さと選手の経験値で上回るデンソーとの差が後半に見えはじめる。第3クォーター、立て続けに10点を挙げたデンソーが流れをつかみ、56-48と8点のリードを奪った。
アグレッシブなディフェンスを信条とするマリーナ・マルコヴィッチヘッドコーチは、「現在において、フルコートのディフェンスをしなければ良いバスケもできない」と言い、幾度かENEOSのエンドスローインをスティールする。ENEOSの梅嵜ヘッドコーチや岡本彩也花と宮崎早織のガード陣も、相手のディフェンスに苦しめられたことを吐露した。