全員が走るトランジションバスケで6連勝
昨シーズン、3勝(13敗)しかできなかった日立ハイテククーガーズが、3週目を終わった時点で無傷の6連勝に驚かされる。同じく負けなしはENEOSサンフラワーズと、今節試合が無かった西地区のトヨタ自動車アンテロープス(4勝)に限られ、得失点差で上回る日立ハイテクが東地区の首位に立っている。185cmの谷村里佳が加入したことが大きい(※移籍選手特集「新天地で輝く」に登場予定)。平均19点はENEOSの渡嘉敷来夢(平均21.3点)に次ぐ2位。同じく移籍組である佐藤奈々美は先発を任され、ベンチスタートの村山翠の活躍もチームを勢いづける。
谷村の加入により、「プレースタイルが変わった」というのは183cmの鈴木知佳だ。「私自身がシュートを打つこともそうですが、アシストにまわることが今シーズンはできており、プレーの幅もすごく広がっていると感じています」と言い、谷村とのハイポストからローポストへのコンビプレーが冴える。昨シーズンは平均7点、1アシストだったが、現時点で平均13点、2.3アシストと上乗せさせている。
元女子日本代表の指揮官でもある内海知秀ヘッドコーチを迎え、「ディフェンスからトランジションバスケが今の日立ハイテクのスタイルです。センターもフォワード陣も走ることで、良いリズムでボールを回しながらインサイドから攻めたり、アウトサイドからシュートが決めたり、そのバランスが良くなっています」と鈴木は、その変化を実感する。勝つことで自信が芽生え、新たなスタイルに確信を持ちはじめている。ベンチメンバーも遜色ない働きを見せ、昨シーズンと比較して層の厚さも実感できる。谷村がベンチに下がったときこそ、「私がゴール下で身体を張ることがチームの役割」とコートに残る鈴木がチームを支える。実際に東京羽田ヴィッキーズとの2連戦は谷村が休んでいる時間帯に引き離し、勝利をつかんだ。
これまで勝てなかったシャンソン化粧品シャンソンVマジックと、東京羽田にいずれも2連勝を挙げた。試合前、昨シーズンの敗戦が頭を過ぎり、「すごく緊張していました」と鈴木は吐露する。だが、試合がはじまれば「まわりがすごく頼もしい選手たちばかりなので、良い意味で気楽に自分のプレーができたかな」とこれまでとは異なる結果を残し、霧が晴れていった。