平均3.4点から7点、リバウンドも2.1本から4.3本とプレータイムに比例して、畠中はスタッツを倍増させている。23分間出場した羽田戦は12点、7リバウンドと活躍。髙田や赤穂さくらのバックアップとしての役割を果たしていた。昨シーズンと比較し、「やることや求められることが明確になり、そこに対してしっかり練習ができています」というのが好調の要因だ。「インサイドを強くするのは当然ですが、自分の持ち味は外からシュートを打てるところ。ポストプレーだけではなく、アウトサイドプレーができることを今シーズンは特に意識しています」とフォーカスを絞ったことで畠中のパフォーマンスが上向きはじめている。
「いつもリツさん(※髙田のコートネーム)やさくらとマッチアップしているので見て学ぶことも多いですし、直接アドバイスをもらっていることで良い方向に行っています。また、ディフェンスも自分の強みになっていると感じます」
ヴクサノヴィッチヘッドコーチが「代えがきかない選手であり、日本だけではなく世界の中でも一世代に一人の逸材」と賞賛する髙田の存在が、畠中の成長に拍車をかけてもいた。
11連覇中のJX-ENEOSも「戦えない相手ではない」
デンソーは、15人中9人がキャリア5年に満たない若いチームである。4シーズン目を迎え、中堅に差し掛かった畠中らが存在感を示すことで、安定した強さを手に入れることだってできる。「私の代から上は年齢が離れています。引っ張ってもらうばかりではなく、自分たちから引っ張って行こうと今シーズンがはじまる前からみんなと話をしていました。それをしっかり体現できるようにしていきたいです」と意識の面でも変化が見られている。
皇后杯の決勝戦は、53-83でJX-ENEOSサンフラワーズに完敗した。「悔しい思いをしましたが、戦えない相手ではないということもみんなが感じています」という畠中は12分間出場し、6点を挙げた。経験が浅い選手たちにとっては、少なからず手応えを感じる機会となった。そこで得た課題を突き詰めていけば、「JX-ENEOSとも対等に戦えるようになると思いますし、その先に日本一があります。しっかり練習していくしかないですね」。
ヴクサノヴィッチヘッドコーチは常に恐れることなく、チャレンジすることを求めている。積極的なプレーに対し、たとえミスをしてもその姿勢を褒め、次のプレーで挽回するように背中を押す。「常に学び続けなければ自分自身の成長も止まってしまいます。練習でも試合でも必ず学ぶことがあります」という指揮官自身も、外国籍選手がいない極東の地でチャレンジする日々だ。
プレーオフ直前となるレギュラーシーズン最終戦(3月14日・15日/熊本県立総合体育館)が、皇后杯決勝以来となるJX-ENEOSとの対戦を迎える。あと3週間でどう変わっていくだろうか。
文・写真 泉誠一