オリンピック予選により中断していたWリーグが、クライマックスへ向けて再開した。所属チームに戻った女子日本代表選手たちが、軒並み活躍を見せる。オリンピック予選が開催されたベルギーでの練習時に腰を痛めて出場機会がなかったデンソーアイリスの髙田真希は、東京羽田ヴィッキーズ戦で29点を挙げて完全復活。97-72で快勝したデンソーが、1ヶ月後の3月24日からはじまるプレーオフ進出を決めた。
オリンピック予選に出場したのは選手だけではない。「ようやく時差ボケが抜けてきた」というのは、デンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチだ。セルビア代表のアシスタントコーチとして臨んだ自国開催のオリンピック予選を2勝1敗で勝ち越し、東京オリンピック出場を決めた。69-88と19点差で1敗を喫したのは世界No.1のアメリカであり、「男子のようなバスケットをするチームです。ペースも速いし、ジャンプ力もあるアメリカはやっぱり一歩リードしていました」。もう一人、トヨタ自動車アンテロープスのルーカス・モンデーロヘッドコーチはスペイン代表の指揮官でもある。近日、弊サイトにてロングインタビューが掲載される予定だ。
プレータイムに比例し、スタッツも倍増
ヴクサノヴィッチヘッドコーチが就任したのは、昨年6月。トヨタ自動車から近藤楓が移籍してきたのは就任前の話であり、リクルートには一切関わっていない。「今まで作り上げてきたデンソーのスタイルがあり、その良さがあります」とリスペクトし、そこをベースにしながらセルビアのスタイルを持ち込んで着手していく。迎えたシーズン当初は、「少し混乱してしまってうまくいきませんでした」と頭を悩ます。昨年11月、オリンピック・プレ予選のために空いた1ヶ月間は、日本とセルビアの良い部分を融合させながらもう一度チームを作り直す作業に費やした。それにより少しずつチームが上向きはじめ、年明けの皇后杯では準優勝の結果を収めた。「スピードやペースを上げるスタイルを目指していますし、その方が観ているファンにとってもおもしろいですからね」とヴクサノヴィッチヘッドコーチが改革を進めているが、「まだまだ理想にはたどり着いていません。その道のりは遠いです」というのが現状だ。来日する前から「日本のスタイルが好きでしたし、本当にリスペクトできるチームです」と女子日本代表も参考にしていた。
「チーム全体として3Pシュートは強化しています」と言うのは184cmの畠中春香だ。現在の女子日本代表は、どのポジションであっても3Pシュートは不可欠である。昨今、NBAのショットチャートを見れば、ペイントエリアと3Pシュートの2極化がトレンドだ。女子日本代表もその潮流に乗り、オリンピック予選での3試合でミドルレンジのシュートはたった8本しか放っていない。「ヘッドコーチは全員に3Pシュートを求めていますし、打つ機会は必然的に増えています。もちろん練習量も増えましたので、そこが試合に出せてきています」という畠中も羽田戦で1本沈め、昨シーズンの成功本数(7/23本)を12試合が終えた時点ですでに超えた(8/19本)。