「ボールが回らずにオフェンスの流れが重たくなっているんだったら、セットプレーは全員にボールが回るようなあのセットプレーをしたほうがいいのかなと考えます。日本代表は本当にすごい数のセットプレーがあるので、それをどう使いこなすかは『ポイントガードの手腕にかかってくる』と、トム(・ホーバスヘッドコーチ)さんにもよく言われるんですね。そのセットプレーにしても、どこがチャンスなのか、どういう動きを作りたいのかを考えながら、何を選ぶのかを今は求められています」
セットプレーはハーフコートオフェンスだけでなく、トランジションオフェンスにもある。どれを選択するかは原則的にポイントガードに任されるのだが、「前半と後半、もしくはクォーターごとに、トランジションのセットプレーは『これと、これ』というように、チームでいくつか決められているんです」。ゲームの、しかも疲労が徐々に蓄積されていくなかで、選手たちは常に頭をクリアにしていかなければ、勝利を手繰り寄せることはできないというわけだ。
「ポイントガードはプレーを覚えるだけでなく、このセットプレーはどんなディフェンスのときに使ったほうがいいのか……ディフェンスの守り方によっても効くセットプレーと、効かないセットプレーがあるから、それを見極めるのもすごく大変なんです」
広い視野でゲームを見渡し、刻一刻と変化していく状況を読み解き、数多くある選択肢のなかから状況に適したプレーを選択、展開していく。ポイントガードはバスケットを理解していなければできないポジションなのである。
いつか乗り越えられると信じて
高いレベルになればなるほどそうした難しさを求められるのだが、本橋はそこに楽しさも感じている。
「これはポイントガードだからかどうかはわからないんですけど、いろんなバスケットを知れることはすごく楽しいなって思います。小学校から中学、高校、大学と、それぞれの環境でいろんなバスケットをやってきていて、今またトムさんのところでトムさんの新しいバスケットをやっている。こうやっていろんなバスケットを知ることによって、いろんなバリエーションが増えていくので、それがコートに出ているチームメートとかみ合ったときは本当に楽しいなって思いますね」