part2「貫くことでリズムを取り戻していく」より続く
ポイントガードの手腕にかかるセットプレー
現代バスケットではもはや1人の選手が40分間ずっと出続けることはない。ベンチメンバーと交代しながら、コート上をよりよい状態に保つことが重要になってくる。
それでもスタメン選手には、スタメン選手としてやるべきことがある。本橋菜子は「日本代表の話になってしまうけど」と前置きして、こう続けている。
「ディフェンスからファストブレイクを出す。速い展開で、スピーディーなバスケットをすることが日本のスタイルだと思うので、そこを最初から出しきれるかは意識しています。リバウンドを取ったり、ボールを取ったときのプッシュ……前にプッシュすることはより意識していますね」
攻守の切り替えを速くして、相手がよりよいディフェンスポジションにつく前に攻撃を仕掛ける。そうすることで身長などの劣っている差を埋めていこうという考え方が今の日本 ── 代表チームだけでなく、国内リーグの各チームにもある。
そのためにはディフェンスの強度も求められる。
「日本代表でもヴィッキーズでも相手のスローインのところからオールコートでつくように言われています。ポイントガードは一番前で守る選手だし、後ろの仲間も見ているので、前の人が頑張ってプレッシャーをかけていたらディフェンスの意識もより強まると思うので、それも考えて、意識的にプレッシャーをかけるようにしています」
ポイントガードはよく「司令塔」と呼ばれるが、それは単にオフェンスで指示を出すことだけを意味しない。ディフェンスでも“背中”で意思を伝えているのだ。
ポイントガードはまた、ベンチに下がってもその頭が休まることはない。ゲームの流れを冷静に読み取りながら、次に自分が出ていったときに何をすべきかを想定する。重たい展開になっていると思えば、次に出たときはより速くプッシュしなければいけないし、アウトサイドのシュートが外れているなと思ったら、積極的にインサイドへアタックして、ディフェンスを縮めてからシュートを打たせよう。そんなことを考えながら、ベンチのポイントガードはゲームを見ている。