明確な役割があるからこそ「その期待に応えたい」
開幕から4連勝し、唯一無敗を誇るのがデンソーアイリスである。セルビアからやって来たヴラディミール・ヴクサノヴィッチが新たに指揮を執り、今シーズンは幸先の良いスタートを切った。デンソーひとすじ12シーズン目を迎えた髙田真希は、「今までと違ったようなバスケットをしています」と新指揮官から刺激を受けている。
ヴクサノヴィッチヘッドコーチが強調するのはディフェンスだが、これまでも同様だったはずだ。「基本的には同じですが、ヘッドコーチはポジショニングを大事にしており、そこを細かく指摘されます。特にオフボールに対するディフェンスはまだまだ足りないです」と髙田は感じている。日本代表活動のため、赤穂ひまわりとともに長くチームを留守していたこともあり、現在進行形でチームを作っている最中だ。その中においてヴクサノヴィッチヘッドコーチからは、一人ひとりに役割を与えられている。チームに戻ってまもない髙田にとっても、「その中で自分やひまわりは得点を期待されています」と役割が明確になっており、一つひとつをつなぎ合わせていく。だからこそ「その期待に応えたい」という髙田は今シーズンに懸ける思いは一層強い。
アジアカップ4連覇を果たした日本代表を通じて自信とともに、課題も浮き彫りとなった。オリンピックへ向けて、今シーズンのリーグ戦で成長しなければ間に合わない。世界ランキング10位の日本よりも高い8位のセルビア代表で、アシスタントコーチも兼務するヴクサノヴィッチヘッドコーチから多くのことを吸収する。「国際大会では多くのシュートチャンスがあるわけでもないので、しっかりその場面でも決めきれるようにしたいです。リーグ戦中は打てるときには思い切ってどんどん打って行こうと思っています」と常に世界基準でプレーしている。
新ヘッドコーチを迎えたメリットのひとつとして、フラットに評価されることがある。これまでプレータイムを与えられなかった選手にとっては、大きなモチベーションにもなる。デンソーでの7年間で8試合しか先発の機会がなかった園田奈緒だが、今シーズンはすでに2試合、真っ新なコートに立っている。他にも若い選手が多いデンソーにとっては実戦を通じて成長させることで、完成形へ向けて拍車がかかることだろう。髙田にとっても、プレータイムをシェアできることはプラスに働く。
「出ている時間帯は常にアグレッシブにプレーすることが選手交代をするひとつのポイントです。誰が出てもアグレッシブに戦うことで良いディフェンスができ、良いオフェンスもできます。強いチームは誰が出てもレベルが変わらないですし、出たときにしっかりチャンスを生かして欲しいと思います」