ゾーンでもマンツーマンでも、相手が止まればすぐさまダブルチームでプレッシャーをかけていた。「小さいからこそ、そこはできなければダメ。例えば、本橋選手(菜子/東京羽田ヴィッキーズ)は絶対に止められないですよね。アジアカップのチャンピオンであり、MVPを獲った選手ですから。一人で守れなければ、二人で守るんだということは強調しています。でも、まだまだ中途半端になっています」と伊與田ヘッドコーチの改革ははじまったばかりだ。
これまでと比較し、リバウンドに入る姿勢も向上していたように感じた。開幕戦のリバウンド数は45:48本、2戦目も43:45本と僅差で負けてはいるが競っている。平均36.2本だった昨シーズンと比較すれば、2試合とも40本を超えていたことが成長の現れである。「勝負はリバウンドとルーズボール、他にはないんだ」と伊與田ヘッドコーチは強調し、泥臭いプレーで勝機を見出していくしかない。
限られた練習時間の中で「やるべきことがハッキリした」
山梨QBの選手たちは日中働いており、バスケだけに専念できるチームと比べれば、練習量でビハインドを背負う。「昨年までと練習時間自体はさほど変わりませんが、内容が少し濃くなったというか、短い時間の中でもやるべきことがハッキリしたのが成果として出たかなと思います」と水野は感じ、限られた時間の中でも効率良く強化している。「決まりごとがハッキリして、これをやらせてはいけないということがいくつも増えたので、そこを徹底すれば戦えるという手応えを感じられたことは大きかったです」と続け、勝利したことで目指すべき方向に確信を得ている。
愛知学泉大学で日本一を争ってきた伊與田ヘッドコーチだが、Wリーグでは「相手のアジャストがすごく早いので、さっきまで効いていたプレーが次は効かないことを昨シーズンはすごく感じました」。東京羽田戦でも、前半はゾーンディフェンスで守れていたが、「相手が慣れてきたことで、リバウンドが獲れなくなりました」と対応され、後半はマンツーマンに切り替えていた。攻守に渡ってバリエーションを増やしながら対策する必要があり、「昨シーズンを通じて、私自身が勉強しなければいけないことがよく分かりました」と話すとおり、選手とともに勝利を目指して努力は続く。
次戦10月12日・13日はホーム山梨県(富士北麓公園体育館)でデンソーアイリスを迎える。大きな相手にリバウンドとルーズボールをどこまで徹底できるか。早くも真価が問われるゲームとなる。
文・写真 泉誠一