今シーズンのWリーグにおいて、ルーキーながら唯一オールスターゲームに出場した菅原 絵理奈選手。現在、無料配布中のVol.6「未来は僕らの手の中に」の中ではシーズン中のことを振り返ってもらった。制限のある誌面からはこぼれてしまったが、オールスターのことや、プロフィールで目を引いた「好きなもの:イケメン」の真相についても伺っている。スピリッツサポーターの皆様に向けて、こぼれ話をご紹介しよう。
ーー ルーキーとしてただ一人、オールスターゲームに選出されましたが刺激も多かったのでは?
渡嘉敷(来夢)さんと間宮(佑圭)さん(ともにJX-ENEOSサンフラワーズ)を見ていて、心の底からバスケットが好きなんだなということが伝わってきました。コートに入れば一生懸命プレーしますが、それ以上に盛り上げる力というか、観客を魅了させる力がすごいな、と一緒のチームにいて感じました。もうベンチではお客さんのように見てしまって、「おぉーっ」てなってました(笑)。渡嘉敷さんは高校の時からずっと見ていましたが、さらにWJBLで実績を積んで、WNBAでプレーしているだけあって、そのオーラはバシバシと感じました。
ーー 桜花高校時代、練習中に渡嘉敷選手とマッチアップする機会もあったと思いますが、その時から比べてご自身の成長は感じられましたか?
5on5の練習時にマッチアップするときもありましたが、当時は全く歯が立ちませんでした。確実に止めることはまだできないですが、ちょっとでも相手にイヤな思いをさせることは、高校時代よりもできてはいると思います。
ーー オールスター選手たちと一緒に過ごして、何か気付かされたことはありましたか?
森本(由樹)さん(羽田ヴィッキーズ)は、山梨学院で一緒に練習していた時期があり、そのおかげでオールスターの時は一緒にいる機会が多かったです。森本さんと一緒にJXの選手などと話していると、やっぱり上位と下位にいる違いを感じました。練習にとり組む姿勢など、森本さんとは共通する部分は多くありましたが、それに対して上位チームの選手たちは共感してもらえない。なんて言って良いのか難しいですが、すごく差を感じたんです。そこまで突き詰めてやらなければならないのかと思わされるとともに、だから上位にいるわけだと納得しました。私たちは全然足りていないんだなということを気付かされました。
ーー リオ五輪に出場した選手が主役となったオールスターではありましたが、山梨学院大学の恩師である梅嵜英毅さんはアシスタントコーチとして2度のオリンピックを経験しています。何か話を聞いたりしましたか?
オフシーズンになったら行く機会を作って、いろいろ話を聞きたいです。でも、大学時代に選手だった立場から言わせてもらえると、「もっとチームにいてよ」というのが正直な思いでした。梅嵜先生の元でバスケットをしたいと思って進んだので、もっとたくさん見て欲しかったなぁ…。
日本代表活動で抜けられる機会が多く、「今、いないんだぁ」と思ってしまうことが少なからずありました。自分たちが4年の時が、一番いなかったです。
ーー ちょうどオリンピック予選を控えた大事な年だったというのもありますね。日本代表から戻ってきた時には、どんなアドバイスをしてくれましたか?
日本代表を見ているから、必然的に求めていることが高くなり、「あの選手たちができていることを、なんでお前らはできないんだ」みたいな感じで指導された時もありました。正直言って、比べる人間が違うし、そりゃそうだろう、と思うことは何回かありました(笑)。でも、同じようなプレーができる力が、みんなにもあったからこそ言ってくれているとも思っていました。でも…「比べるレベルが違うぞ!2部のチームに何を言ってるんだ」とツッコミたくなるところもありましたね(笑)。
ーー 「将来的には3番ポジションでも使える選手になれるように走れる体とスキルを身につけていきたい」と言ってましたが、今シーズン、3番にコンバートして覚醒した宮澤夕貴選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)をどう見ていますか?
昨シーズンまで全然3Pシュートを打っていなかったのに、今年はもうシューターと言われるまでになっているので、「相当努力したんだろうな」と誰もが思ったはずです。でも、誰もが努力すればできることでもあるとも思うので、今年できなかったことを来シーズンにはできるようにして、「あれ、こんなプレーもできるんだ」と周りを驚かせることができるように、これからしっかり練習していきます。
ーー 1年を通して”バスケ漬け”だったWJBL選手はどんな環境でしたか?
本当にバスケットのことだけに、頭と体を使っていました。大学の時は授業があり、体育館も自由に使えなかったので、バスケットだけに集中できたかと言えばそうでもなかったです。でも今は、いつでも体育館が使えるという環境があるのがうれしいです。さらに、春には体育館の横に寮ができるので、30分でも1時間でも毎日続けられる何かを見つけていきたいです。
ーー プロフィールを見ていて、好きなもの「イケメン」とあったのが気になりました。
実は、書く場所を間違えてしまいました。好きなもの=イケメンっておかしいですよね。イケメンは目の保養であり、癒やしです。今は三代目 J Soul Brothersにドハマり中です。DVDやCDを買ったりしていますが、もしこのブームが去ったら何にお金を使っていたんだと後悔しそうなくらい買ってます。本人たちに会えないかなーと、東京に行くたびに思ってます。
ーー まさにBリーグはそことつながってい……(話を遮られ)
だから、うらやましいですし、なんでWJBLにはないのかなって思ってます。
ーー BリーグはFLOWERとか同じ事務所の女性アーティストが来ているのだから、WJBLは……(再び、話を遮られ)
もう3代目とかEXILEが来て欲しい!それ目当てでも良いから、その力を借りれば、WJBLだってもっともっと人が来るのかなと思います。Bリーグは盛り上がっていますが、女子もそういうのをどんどん使っていかないと、オリンピックで活躍してもリーグには誰も目を向けてくれない。最初はそれ目的で良いから会場に来てもらって、そこからバスケットの虜になってもらいたい。初心者の方には見に来づらいのかなと思う部分もありますし、男子のようなプレーのハデさはないけど、一生懸命ボールを追ってる姿やがんばってる姿をみんなに見てもらいたいという思いがあります。少しでもそういうのを取り入れて欲しいです。
ーー 確かにWJBLはもっと多くの方に見てもらいたいですし、女子はオリンピックだけではなく、アンダーカテゴリーでも世界で上位におり、言わば世界レベルの戦いが見られるわけです。とはいえ、3代目が来て欲しいというのは自分が会いたいだけなのでは?(笑)
それも少しはあるけど……
文・写真 泉 誠一