「さくらが載ってるのを見ましたよ!」
開口一番、うれしい言葉をくれたのは三菱電機コアラーズの西岡 里紗選手だ。現在配布中のフリーペーパー「バスケットボール・スピリッツVol.2」では、「進め!HOPE STAR U-24期待の星」というテーマのもと、Wリーグからは昨シーズンの新人王である赤穂さくら選手(デンソーアイリス)を紹介している。
中学時代からライバル視
187cmの西岡選手と183cmの赤穂選手は同い年であり、中学校の頃から期待されてきた。しかし高校では、西岡選手の大阪桐蔭高校はなかなか全国の舞台に進めず、インターハイとウインターカップに初出場できたのも3年の時だけである。
「向こうは全然意識してなかったと思いますが、自分は中学の時からライバル視してました。その頃から結構比べられていて、自分は全然うまくなかったので、先生からも『赤穂選手を見本にしろよ』と言われて、意識して見てきました」
今夏、西岡選手と赤穂選手はともに女子U-23日本代表に選出された。台湾で行われたジョーンズカップの全5試合において、先発を任されたのは西岡選手の方だった。そこで得た自信を持って臨む2シーズン目のWリーグだったが、「波が激しい」と自己評価している。
「1年目は周りからも『思いっきりやれば良い』と言われてましたが、そこに2年目は責任が加わりました。1年目よりもリバウンドやブロックショットなど数字的に良くなっている面もありますが、まだまだ波がすごい。獲れている時はすごく獲れるんですが、獲れないときは本当に獲れない。その波をなくしていきたいし、そうすることで今後のリーグ戦も安定して戦っていけるかなと思います」
10試合を終え、平均9点、6.9リバウンド、2.3ブロック(昨シーズン成績:平均6.5点、5.1リバウンド、1.0ブロック)。昨シーズンより全てが上回っている。一方、赤穂選手は平均16.6点、11.6リバウンド、0.8ブロック。ライバルとの直接対決は、12月3日(秋田県立体育館)まで時間はまだある。レベルアップするためにも、その前に行われるJX-ENEOSサンフラワーズ戦(11月26日-27日)を楽しみにしている。
「Wリーグに入ってから初めて地元大阪での試合です。しかも相手には、リオに行って活躍された選手が多いチーム。その強豪と地元で試合できるというのが、今のモチベーションになっています。その試合で学べることも多いと思うので、しっかりプラスにして、さくらとの対決に備えたいです」
中学の頃から赤穂選手をライバル視してきた西岡選手だが、「その背中をずっと見続けてきました。ライバル関係というよりも、憧れの方が強いですね」と言う。アンダーカテゴリー日本代表ではともに飛び級で選出され、仲が良い。
メリットしかない名古屋ホームゲーム
昨シーズンは8位と振るわなかった三菱電機だが、ビッグマンの王 新朝喜を中心としながら若い力が台頭してくれば、十分に戦える戦力が揃っている。櫻木千華選手が完全復帰したことも頼もしい。
「古賀(京子)ヘッドコーチに変わってから、若いチームとなってがんばって行こうと、ハードな練習をしてきました。みんなで苦しい練習を乗り越えて力をつけてきているので、あとはそれをしっかりコートに出していくだけ。良い状態を常に出していくことができれば、目標であるベスト4以上、そして優勝まで行ける力はあると思っています。目標に向かって毎試合ベストの力を出していきたいです」
三菱電機のホームゲームは、Bリーグ名古屋ダイヤモンドドルフィンズと共催で行われることが多い。「名古屋Dの試合はすごく人が多いんですけど、その後にある私たちの試合になるとサーって帰ってしまいます。同じチケットで2試合観られるわけですからメリットしかないと思うんですけど、さみしいです」。西岡選手だけに限らず、女子選手たちも多くの観客の前でプレイすることでさらなる力を発揮できる。リオデジャネイロオリンピックで感動を呼んだ女子バスケだが、集客面は厳しい状況が続く。
11月19日-20日に行われる愛知県体育館でのホームゲームは、名古屋D vs 琉球ゴールデンキングス戦の後に行われる。食わず嫌いになることなく、ぜひWリーグの熱き戦いもご堪能あれ!
文/写真・泉 誠一