日本の至宝が海を渡る――その報を受けたのはJX-ENEOSサンフラワーズがWリーグ7連覇を遂げた記者会見後のことだった。日本の至宝、渡嘉敷来夢がWNBAに所属するチームと契約をしたというのである。トライアウトではなく、契約。その出来事に驚きつつ、やはりアメリカもしっかり彼女には目をつけていたかと、ニンマリとしてしまう。
ファイナルから一夜明けた4月6日、味の素ナショナルトレーニングセンターで渡嘉敷の記者会見が行われた。ここではその記者会見の全文と、囲み取材での渡嘉敷の様子を余すことなく紹介しよう。
Text & Photo by Futoshi Mikami
高橋雅弘(JX-ENEOSサンフラワーズ部長)
こんにちは。JX-ENEOSサンフラワーズ部長の高橋でございます。本日はご多忙の中、このように多数のみなさまにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから弊社女子バスケットボールチーム、JX-ENEOSサンフラワーズ所属選手である渡嘉敷来夢の今後について、ご報告させていただきます。
このたび渡嘉敷はWNBA(アメリカ女子プロバスケットボールリーグ)の加盟チームであるシアトルストームとプレイヤー契約をかわし、WNBAの2015年シーズンに参戦することが決定いたしました。
渡嘉敷は2010年に入社以来、Wリーグ優勝、全日本総合選手権優勝などチームの勝利に大きく貢献し、数々の個人タイトルも受賞してまいりました。また日本代表チームとしましては一昨年の2013年にタイ・バンコクで開催された「FIBAアジア女子バスケットボール選手権」において、中心選手として43年ぶりのアジアチャンピオンに導く活躍を見せ、大会におきましてもMVPを受賞いたしました。
こうしたなか、渡嘉敷はかねてよりWNBAでのプレイを熱望しており、当チームのアソシエイトコーチであるトム・ホーバスの協力を仰ぎながら、WNBAへのプロモーション活動をおこなってきました。そして本年3月にシアトルストームから契約をしたいという連絡が入り、その後双方合意の上、契約に至りました。
契約期間は2015年5月からになります。今後の主なスケジュールは5月の初旬に渡米し、自主トレーニング、時差調整等をおこなったのち、5月17日からチームのトレーニングキャンプに参加し、6月6日の開幕、対ロサンゼルススパークス戦からWNBAでのプレイをスタートさせます。WNBAのレギュラーシーズンは6月6日から9月13日となっております。ここでいい成績を収められれば、プレイオフに進んで、全日程が終わるのは9月中旬になると思っています。その後、サンフラワーズに合流し、WJBLのリーグ戦から当チームにて参戦する予定でいます。
今回のWNBAチームへの入団は渡嘉敷本人にとってはもちろん、サンフラワーズ、ひいては日本バスケットボール界にとりましても大変有意義なことであり、JXグループとしても快く送り出すとともに、できる限りバックアップしていきたいと思っています。
みなさま方におかれましては、シアトルストームの一員としてプレイする渡嘉敷にこれからも温かいご声援のほどをよろしくお願い申し上げ、報告とさせていただきます。ありがとうございました。
渡嘉敷来夢
こんにちは。JX-ENEOSサンフラワーズの渡嘉敷来夢です。このたび女子プロバスケットボールチーム、シアトルストームとプレイヤー契約をかわし、6月に開幕するWNBAの2015年シーズンに参戦することをご報告させていただきます。
サンフラワーズに入って5年、チームの一員として、そして日本代表の一員として多くの経験をさせていただきました。特に日本代表の国際試合では、日本で経験することのできない高さやパワーを肌で感じました。そして世界で通用するプレイヤーになりたいと強く思うようになりました。よりレベルの高いところでプレイすることによって技術面や精神面が強くなると思っていますし、もっともっと成長したいと思っています。
海外挑戦にあたり、ご理解ご協力いただいた会社、チームのみなさん、そしていつも応援してくれるファンのみなさんのためにも自分の持てる力を100%発揮し、思う存分戦ってきたいと思います。
行くことに満足せず、活躍できるように頑張りたいと思います。そしてシーズンが終了し、日本に戻ってきたときには、再びサンフラワーズの一員として大きく成長し、進化した姿をお見せできればなと思っています。これからも応援をよろしくお願いします。ありがとうございました。
佐藤清美(JX-ENEOSサンフラワーズ・ヘッドコーチ)
こんにちは。JX-ENEOSサンフラワーズのヘッドコーチ、佐藤です。みなさんもご存知のとおり、渡嘉敷は日本人離れした高さと、抜群の身体能力を併せ持つプレイヤーとして、我々サンフラワーズの数々の勝利に貢献してくれました。彼女の念願でもあった海外でのプレイがこのたび現実となったことは、本人はもちろんのこと、我々スタッフ、そしてチームとしても大変喜ばしい出来事です。
日本ではずば抜けた高さのある渡嘉敷も、海外に行けばさらに高く、力強い選手たちとぶつかり合うことになります。これはWリーグではなかなか経験できないことです。厳しい世界である反面、大変貴重でやりがいを感じるだろうと思います。そして何より今回の契約における最大のポイントはトライアウトではなく、直接のプレイヤー契約であることです。これは渡嘉敷の能力がすでにWNBAの戦力に足るものであると評価された証拠でもあります。渡嘉敷の能力と向上心をもってすれば、必ずやWNBAで活躍してくれるものと信じております。そしてさらに大きく成長して、サンフラワーズに戻ってきてほしいと願っております。
【質疑応答】
――いつごろから世界でプレイをしたいと思っていましたか? また今回オファーが来て、率直にどう思われましたか?
渡嘉敷 入団当初から海外に挑戦したいという気持ちは強く持っていました。でもメディア等の前で口にすることは、自信がなくて言えませんでした。しかし一昨年アジアでチャンピオンになったときに「海外でプレイしたいとみんなに言いたい」と思うほど、そのあたりから特に海外を意識するようになりました。
オファーをいただいたときはびっくりした気持ちと、嬉しい気持ちでいっぱいでした。
――WNBAでプレイすることは素晴らしいことであると同時に、この時期に日本代表の活動も始まると思うのですが、そのあたりの兼ね合いをどう考えていますか?
高橋 私は日本バスケットボール協会の女子強化の責任者でもありますから、その質問が出たのだと思いますが、WNBAに行って、世界最高峰のところでプレイすることがひいては日本代表のためにもなるでしょうし、もちろんJX-ENEOSにもつながると思っています。いずれにしても彼女はアメリカの相当タイトなスケジュールのなかで、中身の濃いプレイをたくさん身につけてくると思っていますし、一回りも二回りも大きくなって帰ってきてほしいなと思っています。
日本代表は今、国際大会への出場停止という制裁期間の中ではありますが、一方で制裁解除に向けての活動もしているところです。女子日本代表にとっては今年8月末からおこなわれるリオ五輪のアジア予選を最大の目標だと思っています。ここに向けてはシアトルとも話ができていて、その時期に帰国して日本代表に復帰し、リオ五輪の予選には参加できます。その後、またアメリカに戻るということで話し合いが済んでいます。ですので、アジア選手権で中国という非常に大型のチームと対戦することを考慮して、渡嘉敷選手がアメリカの大型選手とどのように戦って力をつけてくれるのか、期待したいと思っています。
渡嘉敷 アメリカの地でプレイすることは、チームはもちろん、日本代表にとってもプラスになるんじゃないかと思っています。ですので、向こうでいろんなことを経験して、いろんなことを吸収して、それをしっかりと日本代表の場でも出せたらなと思っています。
――オファーから契約に至るまでの心境の変化はありましたか? またWNBAで活躍するためにどんなプレイで勝負をしたいと考えていますか?
渡嘉敷 オファーをいただいてから契約するまでは本当に悩まなかったです。むしろオファーをいただいたので、アメリカの地でプレイできるって思ったら嬉しくなっちゃいました。特に心境の変化などはなかったんですけど、アメリカの話をいただいてからも、シーズンの途中ということもあったので、チームのことを第一に考えてやっていました。
アメリカには開幕から絶対にスタートになるんだという気持ちでいきたいと思っています。高さではアメリカに同じくらいの身長の選手がたくさんいると思うんですけど、自分の高さでスピードがあることを売りにしてやっていきたいなと思っています。
――今回はプレイヤー契約であり、トライアウトを受けないという点で今までと違うとのことですが、萩原(美樹子)さんと大神(雄子)選手が以前WNBAに行っていますが、そのときと比較してご説明いただけますか?
高橋 WNBAに参戦した日本人としては渡嘉敷で3人目なんですけど、1人目の萩原についてはWNBAがスタートする年――アトランタ五輪のあとにすぐスタートして、WNBAの戦略としてアトランタ五輪で7位に入賞した日本代表で活躍した選手として選ばれたものだと理解しています。大神のときは、契約する選手がたとえば12名だとしたら10名を契約し、残りの2名をトライアウトキャンプというキャンプに参加させて、そこからノミネートするという流れでした。大神選手はそこでノミネートされ、トレーニングキャンプを経て、メンバー入りしたわけですが、渡嘉敷については彼女のプレイ――日本代表で活躍しているビデオ、サンフラワーズでプレイしているビデオを編集しまして、オファーがありました。本人もどうしてもアメリカに挑戦してみたいという気持ちもありますし、我々もという気持ちがあったので、向こうから契約したいという話が来たということは、今までのケースとは少し異なっているなと。本来であればヨーロッパや中国…アジアに限定すれば中国や韓国の選手も何人か行っていると思いますが、やはりその選手たちとも若干違った、渡嘉敷のプレイの魅力をシアトルが欲しがっているのだろうという思いであります。
いずれにしてもシアトルは若いチームで、昨年度はあまりいい成績ではありませんでした。WNBAは全12チームで、それが6チームずつに分かれていますが、そのなかでシアトルは5位か6位…確か最下位だったと記憶しています。そういうチームなので、新しいチームとして若い選手を育てるチームだと思いますし、渡嘉敷自身も言っているようにただチームに入るだけじゃなく、やはりスタートを目指してやってほしいし、どういうプレイが通用するのか、どういうプレイが通用しないのか。通用しないプレイを通用させるにはどうしていくのか。これが一回りも二回りも大きくなっていくことだと思います。
――シアトルにはスー・バードというアメリカを代表するポイントガードがいます。彼女とプレイができるというのは楽しみだと思うのですが、それに関してどう思っていますか? また他チームにマッチアップしたい選手はいますか?
渡嘉敷 どのような選手がいるのかもあまりわかっていないんですけど、スー・バード選手はアメリカ代表でプレイしているのをDVDなどで見ていたので、そこはすごく魅力を感じています。一緒に組める、同じチームでできるってことは今すごく楽しみにしているところです。
マッチアップしてみたい選手は、特にこの人という選手はいませんが、自分よりも高くて、強くて、スピードのある選手とマッチアップして、いろいろと吸収してみたいと思います。
――シアトルからポジションについて言及されていますか? またスピードで勝負したいとのことですが、それ以外で通用するんじゃないかと思っていることがありましたら教えてください。
渡嘉敷 特にポジションについては伝えられていません。でも3番、4番、5番のどれかだと思います。
スピードを武器にやっていきたいと思っていますが、特に磨きをかけたいのは、自分の武器である右ドライブ。これは世界でも通用するんじゃないかと声を大にして言いたいです。あ、左ドライブも持って帰ってきます(笑)。
――確認ですが、すでに最終12名の枠の中には入って、登録される契約ということでよろしいでしょうか?
高橋 アメリカは今、全米大学NCAAのファイナル4をやっているところで、それが終わってドラフトになります。そこの枠もあります。ですが、先ほども申し上げたようにトライアウトキャンプに参加して、という招待状ではなく、チームとの契約ですので、10名か11名のなかに入っているということだと理解しています。そこが今までの2名とは違うところです。
――次はレギュラーになって、コートに立てるかどうかが勝負になる。
高橋 若いチームですし、かなり彼女のプレイを気に入ってくれています。本人も3番か4番かと言いましたが、限りなく3番に近い4番で期待したいとシアトル側は言っていました。ですので、ある程度戦力として考えての結果だと思っています。
――世界を意識し始めたのがFIBAアジアのあとの世界選手権とおっしゃいましたが、WNBAがご自身の中で夢だったのでしょうか? 夢であればいつごろから描き始めたのでしょうか? また今シーズン、Wリーグを戦う上で世界を念頭に入れた戦い方、何か意識されていたことがありましたら、教えてください。
渡嘉敷 WNBAを初めて知ったのは高校2年生のときなんですけど、そのときまだWNBAに挑戦したいとか、行きたいというより、すごいところなんだなというイメージのほうが強かったです。いつかは挑戦したいなと思ったのは、高校卒業と同時にJXに入社するときに芽生えました。
Wリーグでの高さ対策は自分より高い選手がいないのでできないんですけど、シャンソン化粧品に自分より少し大きい選手がいます。その選手とのマッチアップのときは積極的にいろんな技を使うように意識していました。また今シーズンはアウトサイドからのプレイをもう少し身につけたいと思っていたので、アウトサイドからの1対1やジャンプシュートを意識していました。
さらに今シーズンはトレーニングにもかなり力を入れてやったシーズンだと思います。
――アメリカでの経験をどのように日本に持って帰ってきたいと考えていますか? また制裁中ではありますが、リオ五輪の予選、リオ五輪をどう戦っていきたいと考えていますか?
渡嘉敷 自分自身、日本にはない高さがあると思うので、その高さをどうコントロールできるかだと思います。そういう部分でアメリカには自分と同じくらいの身長でいろんな技術を持っていると思うので、そういうところをしっかりと身につけて、日本にとってプラスになるようになりたいと思っています。
リオ五輪については、今、自分に何ができるかを考えたときに一生懸命プレイすることが一番だと思っているので、それに向けて、一日一日をしっかりと練習をして、オリンピックの舞台で日本のバスケットを、自分のバスケットを表現できるように毎日頑張りたいと思います。
【囲み取材】
――じゃ、英語で自己紹介を。
渡嘉敷 えーっ、まだ恥ずかしいです。帰国後でもいいですか? 帰国後、英語で自己紹介と、アメリカで一通りあった出来事を話せるようにしておきます。
――昨日までのファイナルはWNBAに行くことを念頭に置いて、優勝に向かって戦っていたのですか?
渡嘉敷 やはり準優勝でアメリカに行くとは言えないです。ですから絶対に優勝して、誰もが「行ってこい!」って言ってもらえるような状況で行きたいなと考えていました。
――期待もあるでしょうが、不安は?
渡嘉敷 そうですね、今は特に不安などは感じていないです。とりあえず飛び込んで来ます。怖いもの知らずではありませんが、思い切り行きたいなって考えています。
――向こうの生活の準備はどれくらい進んでいますか?
渡嘉敷 向こうでは通訳さんと一緒にいることになると思うんですけど、特にホテルで生活するとか、生活のことはまだ決まっていないです。これからです。
――渡嘉敷さんが世界と対戦したのは昨年の世界選手権が初めてだと思いますが、そこで感じて、もっと自分がやらなきゃいけないなって思ったことって何ですか?
渡嘉敷 オフェンス面でもディフェンス面でも、自分がもっとチームを引っ張っていく気持ちが一番必要だったのかなって思います。初めてっていうことで何も考えず、ただがむしゃらにプレイした世界選手権だったんですけど、でも世界の舞台でいろいろな選手と戦ってみて、自分はもっと成長できるって、何だかわからない変な自信が芽生えたんです。しして自分はもっとうまくなれるし、もう一回この世界の舞台に帰ってきて、今度は相手を見返すというくらいの気持ちでプレイしようと思ってからは、常に世界を意識しています。早く世界の選手と戦いたいです。
――今シーズンのWリーグでも、プレイの幅が広がったんだじゃないかと思います。
渡嘉敷 まだまだな部分のほうが多いんですけど、少しだけアウトサイドのプレイを意識するようになったのは昨シーズンと比べて、いい部分なのかなと思います。ただ、そのアウトサイドのプレイがうまいかどうかと聞かれたら、まだまだですけど、たぶんそれはこれからもっともっと身についてくるんじゃないかと思います。
――高さの壁を感じると思うが、高さ以外にもアメリカに行くことでぶつかる壁はどのようなものだと思いますか?
渡嘉敷 一番は語学ですよね(笑)。プレイ面では体の当たりもあります。今シーズンはトレーニングに力を入れたと言いましたが、世界の選手の体の当たりは、見ている以上に強いんです。アメリカには世界選手権で戦った選手よりも強い選手がたくさんいると思いますし、自分よりも身長が低くてもパワーのある選手もいると思います。そういう体の当たりについても自分の課題でもあるので、アメリカの選手に吹き飛ばされないように頑張ります。
――実際、トレーニングによって今シーズンはパワーアップした手応えはありますか?
渡嘉敷 どうなんですかね(笑)? でもシーズンが始まったころは体つきも「今までのなかで一番いいよね」って周りの方から言われたのでそれはよかったと思います。やはりシーズンを重ねていくと体重とかどんどん落ちていくので、今からまた、オフシーズンに入りましたが、一生懸命トレーニングをしてアメリカに向けて準備していきたいなと思います。
――オフシーズンが少なくなります。
渡嘉敷 日本代表の活動をしていると、オフシーズンが少なくなることは毎年のことなので、そう考えると1週間、2週間…3週間あればいいほうだと思います。また今回のことは自分が行きたいと考えていたことでもあるので、オフなんていらない…っていうと本当に休みがなくなってしまうので(笑)、休めるときにしっかり休んで、そこからはアメリカモードに切り替えたいなと思います。
――先輩である大神さんからアドバイスは?
渡嘉敷 たぶんこれからになるのかなと思います。大神さんが経験してきたことをたくさん聞いてみたいなと思っています。でも富樫(勇樹)君には連絡させていただきました。向こうの生活はどんな感じなのかと、などを聞いて…すごく刺激を受けている人なので、自分も負けずに頑張りたいです。
――この年齢で行くことが大切? これ以上は待てないというか。
渡嘉敷 もっと早くてもいいんじゃないかと周りの方も思うかもしれませんが、数年前まで自分に自信がなかったのと、自分にも満足できなかったので、今が遅いのか早いのかはわからないですけど、今行けることは嬉しいです。やはり今がチャンスというか、また来年になったら行けないかもしれないわけです。このチャンスを大事にしたいなって思います。
――自分に満足できなかったってどういう点ですか?
渡嘉敷 やはり経験が浅かったからという理由もあったと思います。自分は世界を経験してきたわけでもないですし、アジア選手権も1年目、2年目はケガで悩まされて思うようにプレイできなったので、いろんな日本国内でタイトルはいただいていたんですけど、それは日本国内であって、自分はもっとできるって思っていたからですかね。
――もっとできるという理想はどのあたりをイメージしていますか?
渡嘉敷 世界で名が上がるくらいじゃないですかね(笑)。たとえば自分はWNBAだとダイアナ・タウラジ選手(フェニックス・マーキュリー)がすごく好きで、彼女のような選手になりたいんです。彼女はプレイもそうですが、私生活もしっかりしていると大神さんから聞くので、自分もバスケットだけじゃなく、人としても“最高で最強”になりたいと思います。「渡嘉敷なら文句ないよ」って言われるくらいになりたい。高望みしすぎですかね(笑)? でも行けるところまで行きたいですね、プレイヤーとしても人としても。
――向こうに行くとタフな試合の連続になるのかなと思います。こちらにいるときはチームメイトやトムがいて、相談ができたと思う。それを自分で解決する。
渡嘉敷 向こうでは必ず一人になって、孤独になったり、嫌になったりすると思うんですけど、これも自分を成長させるためには必要なことだと考えています。今まではいろんな人に助けられて、いろんな人に支えられてきて、それはもちろんアメリカでもいろんな人の支えや協力もあると思いますが、ある程度一人でできるようにならないとダメだと思うので、それはすごくいい経験なのかなと思います。だから楽しみです。自分で感情をどのようにコントロールしたり、どうやって解決するのかなって、今は想像もつかないけど、楽しみです。
――今シーズンは契約しましたが、来年以降も継続してWNBAでプレイしたいという気持ちは今ありますか?
渡嘉敷 そうですね、1回だけじゃなく2回、3回、4回って海外で経験していくことによって得るものもあると思うので、今年だけ、今回だけっていうところで満足したくないです。
――背番号や名前などでチームに要望していることはありますか?
渡嘉敷 いやまだ何もしていません。ただスー・バードさんが10番なので(JX-ENEOSでつけていた)10番は無理です(笑)。
JX-ENEOSサンフラワーズ チームサイト:http://www.jx-group.co.jp/sunflowers/
WNBA公式サイト:http://www.wnba.com/
シアトルストーム チームサイト:http://www.wnba.com/storm/