11月25・26日の2日間にわたって開催された第90回皇后杯・全日本バスケットボール選手権大会は、25日にWリーグの3チームが敗退するという波乱含みの展開となった。翌日には東京羽田ヴィッキーズも白鷗大に苦杯を喫し、昨年の東京医療保健大に続いて大学勢がファイナルラウンドに進出する結果となっている。
アップセットを果たしたチームの1つが、地域リーグの強豪である秋田銀行。25日は秋田勢同士の対戦となったプレステージ・インターナショナル アランマーレと終始接戦を展開し、同点で迎えた残り6秒に村上瑠奈が決めたフリースローが決勝点となり、1点差で制した。この試合で村上は3ポイント4本を含む22得点6アシスト、篠原陽夏は12得点9リバウンド、阿部泉美は3ポイント5本を含む32得点。Wリーグのチームに真っ向勝負を挑んだ、素晴らしい活躍だった。
しかし、翌日の相手は複数の日本代表経験者を擁する富士通。Wリーグでもプレーオフ常連のチームには歯が立たず、105-45という大差で黒星を喫した。試合後、佐藤清美ヘッドコーチはこう振り返る。
「富士通さんと試合できたことが一番大きかった。選手たちも良い経験ができたと思います。内容については見ての通り。でも、選手たちも思い切り当たっていってくれたので、満足してます。勝てる相手じゃないけど、Wリーグのトップチームと試合ができるんだから、とにかく逃げないでバスケットにアタックしていこうと言って、それを選手たちがやってくれた」
カテゴリーによるレベルの差は、第一にフィジカル面によく表れる。9月のWリーグオータムカップに参戦したとはいえ、世界を相手に戦ってきた選手もいる富士通のようなチームと相まみえる機会は、秋田銀行にとって滅多にない。佐藤HCも、勝敗以前にその点が大きな収穫になることを見越していた。
「当たりの強さは初めて経験したわけで、それが一番良かったんじゃないですか。普段とは対戦相手が違いますからね。昨日もきつかったけど、今日はもっときついですから。それを選手たちが肌で感じてくれたので」
佐藤HCは秋田県出身だが、25日の秋田対決に関しては「周りの人たちは『秋田同士だ』って言ってくれてますが、僕はあまり意識してなかった」とのこと。「練習ゲームをやってもなかなか勝てない相手だったんで、ある意味無欲で昨日のゲームに臨めたのが良かったのかなと思います」と、ただWリーグのチームを相手にどう戦うかという点だけにフォーカスしていたようだ。
そのWリーグ勢から白星をもぎ取ったことは、もちろんチームにとって大きく、佐藤HCの面目躍如とも言える。ただ、そのWリーグで絶対女王だったENEOSを長年指揮してきた佐藤HCは、Wリーグ勢にクギを刺すことも忘れなかった。
「学生が強くなったのかどうかはわからないですが、Wリーグのチームが大学生に負けたり、うちみたいなチームに負けたり、そういうことは何年か前にはなかったですよね。それが今はちょっと多いかな。Wリーグのチームがもうちょっと頑張ってくれないと」