木下とともに、日立ハイテクへの入団を決めた198cmのファール アミナタ。今年度の間に2年分の修学過程を全うし、大学を去る。2人の大黒柱が抜けることになるが、「下級生たちは良い経験をしてきたので、去年と今年の先輩たちの分もがんばって、日本経済大学はやっぱり強いと思わせたい。最終日まで進んだのも昨年の1回だけなので、それを経験した彼女たちの代でもう一回達成できるようにがんばっていきます」と案浦監督も新たなスタートを切る。
「声かけなどのコミュニケーションは先輩や後輩に関係なく、コートに立ったら一選手としてやるべきこと」大阪体育大学 #11 日髙ひかる
木下同様、大阪体育大学もコートに立つ4年生は1人だけ。「ゲームキャプテンとエースの両方の役割、ポイントガードでもあるので負けも勝ちも全部の責任が自分にかかっていました。今日の負けも自分の責任だと思っています。しんどかったことは本当に多かったですね」と話す日髙ひかるの大学バスケが終わった。
環太平洋大学との1回戦を勝利し、続くシードの早稲田大学と対戦。立ち上がりに連続失点から追う展開だったが、後半に2年生の #19 アィェビドゥン グレイスがインサイドを制し、42-41と逆転。どちらも譲らぬ第3クォーターを終え、46-47と大阪体育大学が1点を追ってラスト10分へ。14点を挙げた日髙も、最後に勝負強く3ポイントシュートを決めた。しかし、試合を通してシュート成功率は23.1%(6/26本)と精度が上がらず、58-72で敗退となった。
「エースとして決め切らなければいけないシュートを、あまり確率良く決められなかったのは、やっぱり悔しい思いがあります。そこを決められていたら勝っていたかな、もう少し粘れたのかなと今は思います。でも、今後もバスケは続くので、そこをもっと決め切ることができるように練習していきたいと同時に、チームとしても『日本一が遠いけど、遠くないな』と実感できました」
#14 升田木花(3年)や #10 三次真歩(2年)、アィェビドゥンらは昨年の新人インカレで先に日本一を経験している。頼もしい後輩たちに「支えられてきたチームの土台は強いと思っています。そこを1人ひとりがもうひとつ成長して、上手さよりも大阪体育大学らしい強さをもっと身につけて、来年もう1回インカレで日本一に挑戦して欲しいです」と日髙は述べ、頂点もしっかり見えている。
今後も続く日髙の次の舞台はWリーグ。入団するトヨタ紡織サンシャインラビッツとは、皇后杯2次ラウンドで対戦した。「プロを相手に、チームで決めたディフェンスを発揮できたところは自信を持つことができました。決め切るべきシュートや攻める場面を自分の感覚としてしっかりつかんでインカレに臨めたので、大会前に皇后杯があったのは良かったです」と最高の相手と良い準備ができた。新たなチームメイトに胸を借りた日髙は、3ポイントシュート3本を含む28点を決める大活躍。
「ちょっと気まずいところもあったんですけど、アピールはちゃんとできたんじゃないかなと思います」
後輩を引き上げてきた日髙だが、これからは一番下となって新たな環境で揉まれていく。これまでの重責を背負うことなく、「もう考えすぎなくて良いかなと思うから、逆に羽を伸ばして思いっきりバスケを楽しみたいな」とこれまでとは違った日髙が生まれるかもしれない。一方、年下の主力選手も多いトヨタ紡織だけに、大阪体育大学で見せたリーダーシップは継続して欲しい。「自分の強みは上手さよりもがんばること。声かけなどのコミュニケーションは先輩や後輩に関係なく、コートに立ったら一選手としてやるべきこと。自分のその軸はブラさずにやっていきたいです」と話す日髙の新天地での活躍を祈る。
「これから厳しい世界になっていくと思うので、今日の反省も含めて詰めが甘いところはしっかり練習して、さらに良い環境でバスケができる分、ちゃんと自分と向き合って成長できるようにしたいです」
文・写真 泉誠一