SG:星杏璃(ENEOSサンフラワーズ #59)
2022-23シーズンのWリーグでブレイクした選手のひとりである。選考会で星の名を挙げると、「あっ、星がいたね~」と声が上がったことには驚いた。いやいや、スピリッツ的でしょ。星は。
スタッツを見ても、得点ランキング11位(12.58点)、アシスト19位(2.85本)は、いきなりスポットライトを浴びた選手としてはそこそこだけど、スティール8位(1.69本)、フィールドゴール成功率7位(50.62%)、そして3ポイントシュート成功率2位(43.75%)は、間違いなく好成績と言っていい。むろん3ポイントシュートに関しては、ペイントエリアに渡嘉敷来夢がいて、その周りに宮崎早織、林咲希、長岡萌映子がいるのだから、厚く守る順位としては彼女たちの後になるかもしれないが、そこでしっかり沈めているところに努力の跡を感じられる。
ディフェンスもしっかりボディアップできている印象があるし、ボールを奪えば、スタタタタッと走るイメージが強い。ディフェンスからのブレイクを掲げるENEOSらしい選手である。
これまでにないほど脚光を浴びて、それでもなお動じることなく、皇后杯の10連覇と、Wリーグの玉座奪還に貢献。シーズン終了後には、6月下旬から始まるアジアカップの日本代表候補にまで選ばれたのだから、もはやピンポイントの賞を送ってもいいくらい。ただ、そこはおじさん選考員なので、ま、もう1シーズン様子を見ましょう、ということで、今回はベスト5に留まらせていただいた。林が移籍した分、あるいはマークが厳しくなるかもしれないが、それを振り切って、今シーズン同様の活躍できれば、スピリッツ的個人賞だけでなく、本家でも何かに選ばれるはずである。そのポテンシャルを2022-23シーズンに見せてもらった気がする。
実は彼女が高校生のとき、取材したことがある。一緒に取材した先輩だったか、後輩だったかが、星のことを「ツンデレ」だと言っていた。プレーは堂々たるものだし、インタビューなどを見ても、多少不慣れなところはあっても落ち着いているように見える。スピリッツ的ベスト5を送ったところで、何それ? と表面上はあしらわれそうだが、たぶん内心では喜んでくれると信じている。来シーズンは本家もスピリッツもより高みを目指しましょう。