日本一盛り上がる高校バスケで活躍した選手が、そのままWリーグで名を馳せているイメージがある。しかし、昨今は大学4年間で力をつけた選手が即戦力として迎えられ、その力を発揮している。今年のWリーグでは、東京医療保健大学出身の平末明日香(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)がルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたのも納得である。平末を含めた過去10年間、本家Wリーグのルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞者を見ても、その半分は大卒ルーキーが受賞してきた。
高校バスケの常勝軍団といえば、桜花学園である。しかし、この賞を獲得した桜花学園出身選手は、ちょうど10年前の渡嘉敷来夢まで遡らねばならない。もちろん、高校トップレベルの選手たちはタレント多い強豪チームに迎えられ、プレータイムも制限されてしまう。MVPやベスト5など数多の賞に輝いた大神雄子氏(現トヨタ自動車アンテロープス アシスタントコーチ)でさえ、最初で最後のJOMO(現ENEOS)サンフラワーズでの1年目、この賞だけは手にできなかった。
平均10.63点の平末はスタッツにも現れており、ルーキー・オブ・ザ・イヤーにふさわしい活躍だった。スピリッツ・アウォードでは、インパクトの部分で記憶に残った桜花学園出身の平下愛佳(トヨタ自動車)に、最優秀新人選手賞を贈ることを決めた。
積極的にタイムシェアするトヨタ自動車であり、平下の出場時間は平均13分程度。プレッシャーがかかる中でも、要所で3ポイントシュートを決めきったイメージが残っている。ENEOSサンフラワーズとの初対戦となった皇后杯決勝では、強気なプレーで7点を挙げた。しかし、Wリーグ プレーオフでは無得点に終わっている。この最優秀新人賞は、今後に向けて背中を押す意味合いも込めたい。平末と平下と似た苗字の二人のさらなる活躍を期待している。
文 泉誠一
写真 W LEAGUE