移籍したことで、さらなる活躍を見せた選手を称えるベストトランスファー。Wリーグも移籍市場が活性化し、来シーズンへ向けた自由契約選手リストが更新されるたびに驚かされている。
今シーズンは、日本代表クラスの移籍が相次いだ。オコエ桃仁花(デンソーアイリス→富士通レッドウェーブ)、河村美幸(シャンソン化粧品シャンソンVマジック→トヨタ自動車アンテロープス)、近藤楓(トヨタ自動車→デンソー)らの名前が挙がる。富士通に移籍したオコエは5.35点から11.31点、リバウンドも2.85本から5.88本へと倍増させ、日本代表経験者の中では一番の飛躍を見せた。
そのオコエに対抗してノミネートしたのが、トヨタ紡織の加藤優希だ。これまではケガが多かったこともあり、シャンソン時代の4シーズンで先発出場したのはたった15回。しかし、移籍した今シーズンは16試合すべてを先発で起用された。比例するように7.18点から13点と軒並みスタッツも伸ばしている。昨シーズンは6位だったトヨタ紡織が一時は首位争いをし、4位へと引き上げた立役者という点も評価する。スピリッツアワード選考委員会ではベスト5にもノミネートされた加藤に、ベストトランスファーの贈呈を決めた。
179cm、センターとしてはけっして大きくない。その加藤はキャリア通算24本だった3Pシュート試投数に対し、今シーズンは57本へと倍増させた。28.07%と確率はまだ高くないが、楽しみな可能性を秘めている。マークが厳しくなるであろうトヨタ紡織での2年目は、真価が問われるシーズンとなる。
文 泉誠一
写真 W LEAGUE