渡嘉敷来夢がアメリカへ旅立った。シアトル・ストームの一員としてWNBAの舞台に立つためだ。しかし彼女からは気負いが全く感じられない。国内リーグのときと同じスタンスでメディアに語り、見送りに来ていた家族や友人と戯れる様子は、世界最高峰のリーグに参戦する渡米すらも「ちょっとそこまで散歩に行ってきます」という軽い感覚。でも、なんだろう、それこそが渡嘉敷来夢の渡嘉敷来夢たる所以というか、見事なまでの清々しさを感じさせる。外連味のない天真爛漫さ。むろんそれとて渡嘉敷の一側面でしかないのだろうが──。
ここでは出発前に成田空港でおこなわれた、笑顔のあふれた囲み取材の様子をお届けしよう。
── 率直な今の気持ちを聞かせてください。
渡嘉敷 やっと今、「これからアメリカに行くんだな」っていう実感がわきました。空港に着いたときも「本当にアメリカに行くのかな…すぐに帰ってくるんじゃないかな」って勝手に思っていましたから。
── リラックスできている。
渡嘉敷 リラックスできているかどうかは、わからないですけど…楽な気持ちで出発するなぁって感じです。
── これだけ多くの報道陣がいることについては?
渡嘉敷 ビックリです。空港に入ってきたときに、みなさんが見えたので「わぁ~(こんなに来ているのか)!」って。こんな経験は初めてです。ありがとうございます。
── 契約を結んだという記者会見から少し時間が経ちましたが、その後はどのように過ごしていましたか?
渡嘉敷 毎日、午前中は軽く体を動かしていました。でも特にアメリカを意識して何かをしたということはないです。
── 英会話は?
渡嘉敷 英会話はチョロチョロチョロと…まだ全然できないんですけどね(笑)。
── トレーニングキャンプに入る前に、サンディエゴでトレーニングをするんですよね? そこではどんなことをするのですか?
渡嘉敷 まだ何も聞いていないんですけど、トム(・ホーバス。JX-ENEOSサンフラワーズ・アソシエイトコーチ)のメニューをガッツリやらされるんだと思います。
── トレーニングはホーバスコーチがやるのですか? それとも専門のトレーナーのもとでおこなうのですか?
渡嘉敷 トムが彼の息子さんの通っている高校の体育館を借りて、トレーニングをしてくれるみたいです。たぶんディフェンス練習や、シュート系だと3ポイントシュートとか、ミドルシュートとかの練習がメインになるんだと思います。
── サンディエゴにはいつまでいるのですか?
渡嘉敷 12日にシアトル入りするので、9日から11日まで3日間ですね。
── 実際、シアトルでキャンプに入ったら自分をアピールしなければいけないわけだけど、どのあたりを出していきたいと考えていますか?
渡嘉敷 ここまできたら、あとはやるだけなので、自分が日本でできていることをしっかり出したいなって考えています。シュート力は……けっしてあるわけではないんですけど、それでもシュートだったり、1対1では負けたくないって思っています。あとは自分と身長が同じか、自分よりも大きい選手やパワーの強い選手がたくさんいると思うので、そういう選手に対する体の使い方や、技術面で何が通用するのかを試したいです。
── アウトサイドのシュートはこれから相当力を入れて、磨かないといけないと考えていますか?
渡嘉敷 そうですね…日本の試合ではあまり打つ機会がないですけど、打てるとは思っています。なので、そんなに心配はしていないです。
── 3ポイントも?
渡嘉敷 3ポイントも練習すればできるのかなぁって思います。目標はウチ(JX-ENEOS)の3番の宮澤(夕貴)より決める(笑)!