決勝のコートには『二強』と目された桜花学園と岐阜女子の姿はなかった。頂上決戦の舞台に立ったのは、大会2連覇を狙う岐阜女子を準々決勝で下した安城学園、優勝候補の筆頭に挙げられた桜花学園を準決勝で撃破した大阪桐蔭。どちらが勝っても初優勝となる『フレッシュな顔合わせ』となったが、ここまでの戦いぶりを振り返れば、両チームともに勝つべくして勝ち、上がるべくして上がった決勝の舞台と言える。#7相澤ひかり(172cm)、#13野口さくら(182cm)という大型オールダウンダーを中心にチェンジングディフェンスからの速攻を武器とする安城学園に対し、#15竹原レイラ(185cm)のインサイドを軸とした大阪桐蔭は、外からも#4永田舞、#6鈴木妃乃が確率の良いシュートで揺さぶりをかける。力的にはまさに互角、それだけにレベルが高い白熱戦が期待された。
おそらく選手の誰もが疲労の極限に達していたのではないだろうか。が、勝利を目指す両チームの選手たちに気力の衰えは見えなかった。一進一退の白熱戦に終止符が打たれたのは残り6.7秒。柱となる竹原がファウルアウトとなった後も強気のシュートでチームを牽引した鈴木がドライブすると見せかけてゴール下の#18小林明生にパス。コンビプレーが生んだ86点目がこの試合の決勝点となった。
86-84。再延長の激闘を制した大阪桐蔭の戦いぶりは見事だったが、最後までゴールを目指した安城学園の気迫もまた見事だった。感動の涙を流す観客も見受けられた場内からは大きな拍手が湧き起こる。勝者の上にも敗者の上にも惜しみなく鳴り響いたそれは50分間全力を尽くした全ての選手たちを称え、しばらくの間止むことはなかった。