「先輩たちがそういう雰囲気を作ってくれたこともありますが、そのことで自分の中に(スターターを任された)責任感も生まれました」。土浦日大戦で猛追されたとき、まず頭をかすめたのは「インターハイで井手さんが3位に牽引してくれたチームを自分がここで終わらせることは絶対できない」という思いだったという。「ウインターカップはやっぱり3年生の大会だから、その3年生に代わって出してもらっている自分が不甲斐ないプレーはできないと、それはいつもいつも考えています」
あこがれの選手は福岡第一の先輩でもある並里成(現滋賀レイクスターズ)。
「時間さえあればビデオを見てます。しっかりした基本があって、その上で見ている人がわくわくするようなプレーをする並里さんが本当に大好きで、スピードもテクニックも自分のお手本にしています」
203cmのバムアンゲイ・ジョナサン、U-18日本代表でもある松崎裕樹、高確率のシュート力が光る松本礼太など有力な先輩たちを牽引するガードとして最優先に考えているのは『精度の高いパスの配給』だという。「もちろん自分が行けるときは行きますが、うちには得点力がある上級生が揃っているので、まずそこを生かすことを優先しています」。169cmの自分の武器はスピードと積極性、そして、味方を生かすパスだと思う。「そこはあこがれの並里さんや富樫(勇樹・千葉ジェッツふなばし)さんから学ぶところが沢山あります。いつか自分もああいう選手になりたい。それが目標です」
時を同じくして井手口コーチの口から出たのも『並里成』と『富樫勇樹』の名前。「河村には並里以来のガードの資質を感じます。将来は富樫のような選手になれるよう育てていきたいですね」ウインターカップの舞台から未来のスピードスターが誕生するのか。1年生ガード河村勇輝の成長に期待が膨らむ。
文・松原貴実 写真・吉田宗彦