「このチームは東海大学とは違う楽しさあります。みんな、それぞれの大学ではスターですけど、ここに来るとみんなが自分のエゴを捨てて、チームのために自分は何ができるのかを考えています。スタメンとか、ベンチとか関係なく、みんなで自分の役割をやって、高め合っているんです」
エゴを出さず、チームで高め合うことを楽しむ ── 穿った見方をすると、外国人選手はエゴを出してでも、自分をアピールしたいと思う選手が多い気がする。むろんすべての選手がそうではないが、野心にあふれる若い選手はそうした面を強く持っているように思う。ここでその是非を問うつもりはないが、ザックの言葉を聞くと、彼はやはりチームワークを重んじる日本的な資質を持ち合わせていることがわかる。彼は自分自身の役割についてもこう言っている。
「日本学生選抜を率いる池内(泰明)ヘッドコーチのバスケはオフェンス中心なんですけど、そうするとみんなディフェンスでのコミュニケーションが少なくなってしまうので、自分はそうしたコミュニケーションの部分で貢献したいと思います。そしてみんなはオフェンスがすごくうまい選手たちなので、自分はちょっと一歩引くというか、みんなを生かす感じでプレイしようと思っています」
5日におこなわれた第1戦で日本学生選抜は【80-84】で逆転負けを喫している。ザックはベンチから18分出場し、5得点・3リバウンド。
「相手は全体的にサイズとパワーがあって、特に12番のセンターには何本もリバウンドを取られて、そこから点数をつなげられました。彼を1人で守ることは難しいと思うので、みんなで潰しにいって、ローテーションをして、全員でリバウンドを取る。そこから速攻で走れば勝つチャンスはあると思います。明日は切り替えて頑張ります」
エゴとは遠いところにある日本人的なアメリカ人。いや、もはや日本人だとか、アメリカ人だとか、そうした国籍を超えて、ザックはチームのバランスを絶妙に取っている。
バランスキー・ザックが“JAPAN”の一員として戦う最後の試合は、6日の13時に代々木第二体育館でティップオフされる。
文 三上太