準々決勝で対戦した白鷗大と早稲田大の一戦もこの大会の注目カードの1つだった。秋のリーグ戦では3位に浮上し勢いづく白鷗大に対し、早稲田大が名門の意地を見せるか?周囲の期待どおり試合は一進一退の白熱戦となるが、終盤果敢に攻めた白鷗大が#5川島蓮のフリースローで逆転すると、早稲田大の追撃を振り切ってベスト4入りを決めた。敗れた早稲田大のキャプテン#11河合祥樹はコート上の下級生たちに常に声をかけ、心技の要となる存在。この日もチームハイの16得点でチームを引っ張り、残り30秒には鮮やかな3ポイントシュートを決めて「あきらめない」気迫を見せた。それだけに悔やまれるのは、リードを広げる場面で落とした2本のフリースローだったと言える。
――悔しい逆転負けとなってしまいましたが、この試合を終えての感想は?
白鷗大にはリーグ戦でも2敗しているんですが、それも同じようなパターンで負けてしまい、そこは意識して臨みました。けど、今日もまた同じような感じの敗戦になってしまったことは悔しいです。思えば勝てるチャンスはいくらでも転がっていたのにそれを活かせなかったところに実力の差があったのかもしれません。でも、今日は最初から我慢する時間が長いことはわかっていたので、みんなで我慢して、我慢して、いい流れを呼び寄せることもできました。それを壊してしまったのは自分のミスだと思っています。大事な場面でフリースローを2本落としたり、ターンオーバーしたり、みんなが出せる力を出し切ったのに、それを勝ちにつなげられなかったのは自分のミスであり、その責任を痛感しています。
――リーグ戦で2敗していることで、白鷗大に対し苦手意識はなかったですか?
それはなかったです。たしかに向こうには留学生が2人いて代わる代わる出てくるので高さでは向こうが上だし、安定したリバウンドを取れる強みがあります。それは小さい僕たちが戦う上で1番苦労することでもありますが、たとえディフェンスリバウンドが取れなくても、オフェンスリバウンドだけは何が何でも必死に取りに行こうと決めていました。それは全員が意識していたことで、そこを頑張れば決して勝てない相手ではないと思っていました。
――その中で自分の役割は?
1つひとつのプレーを徹底してやろうとみんなが思っていても、思うところにボールが来なかったり、流れの中でうまくいかないことはよくあることです。そうしたことで相手に流れが行きかけたときそれをどう止めるか、下級生がミスしたときにどうケアするかがキャプテンとしての役割だと思ってやってきました。
――早稲田大にとって3年ぶりのインカレでしたが、やはりこの舞台は特別でしたか?
そうですね。インカレというのはどのチームも日本一を目指していて、そこはブレていないので、負けたら終わりという緊張感もあり、一戦一戦が本当に真剣勝負という感じです。4年生にはこれが最後という思いがあるし、下級生たちにはその4年生のためにという思いがある。やっぱり他にはない最高の場所だと思います。
――あらためて振り返るとどんな4年間でしたか?
僕が1年のときに1部から2部に落ちたんですが、その1年は戦っても戦っても勝てなくて、どうしてこんなに勝てないんだろうと毎日が苦しかったです。多分、自分のそれまでのバスケ人生の中で1番苦しかった時期だと思います。それからいろんなことがありましたが、最後の1年はキャプテンを任され、1部でプレーすることができたし、こうしてインカレの舞台にも立て、4年間の中で最も充実した1年を過ごすことができました。
――卒業後の進路は決まっているのですか?
教員になって、母校でバスケットを教えたいと考えています。自分が大学4年間で学んだことはバスケットだけじゃなくて、バスケットを通して1人の人間として成長していくことでした。それを教えてくれた周りの人には今もすごく感謝しています。だから、今度は自分がそれを生徒に伝えられるような教師になりたいと思っています。
文・松原 貴実 写真・泉 誠一