聖カタリナ女子高校出身、広島大学のエース、熊 美里選手。高校最後のウインターカップでは決勝に進み、桜花学園高校を相手に32点を挙げる活躍を見せた熊選手だったが79-88で敗れ、優勝に一歩届かなかった。その後、教員になる目標を持って国立大学である広島大学に進学。
1年次のインカレは2回戦まで勝ち進み、愛知学泉大学に敗れるも27点を挙げた。しかしその後はケガに見舞われ、中国予選を突破できなかった。4年生となった最後の年に完全復帰でき、3年ぶりのインカレ出場を果たす。1回戦の中京大学戦は、今大会初となる延長戦にもつれる大接戦。2度に渡る延長戦を戦い抜いたが62-66で敗れ、大学バスケ最後の試合となってしまった。
学業の方も全うし、卒業後は晴れて目標としていた高校の先生になることが決まっている。
ー 敗れはしましたが、最後の年にインカレに戻って来られた感想は?
自分のオフェンスは全然うまくはいかなかったですが、最後も延長までつないでくれたのはディフェンスをがんばってくれた仲間たちのおかげでした。自分がそこでもう一本決めきることができなかったのは申し訳ないです。でも、みんなでつないでくれた良い試合だったのかなと思います。
ー 40分間で終わることなく、2回の延長を含めて50分間激しく戦い抜いたのは立派でした。
競った試合になるとどうしても気持ちの面でしんどくなります。あと2〜3点を抜け出したいと思っていたところで、自分の弱さが出てしまったかなと、今振り返ってみて思います。みんなが強い意識でディフェンスを最後まで粘ってくれていたので、声を出し続けてがんばることができたと思います。
ー 全国のプレッシャーがかかった戦いができるのもインカレならではだったのでは?
インカレ予選も環太平洋大学と競った試合となりましたが、今日の試合はもう無我夢中でボールを獲ることだけに必死だったので、あっという間でした。延長も2回したのかなっていうほどあっという間に終わってしまいました。
ー 全国常連の聖カタリナ女子高校でしたが、大学では2年間もインカレから遠のいてしまったことで全国への切符をつかむ難しさを感じたのでは?
高校の時は先輩たちが築いてくださったことで毎年絶対に全国出場していました。広大(広島大学)もずっとインカレには出ていましたが、私たちが2年、3年次に出られなくなってしまって、全国への出場権をつかむためにどれだけの努力が必要かを学べました。もちろん、高校3年間でも学べましたが、大学4年間の方がより強く感じています。一人ひとりが強く思って努力したからこそ、今年のインカレに出られたと思います。
ー 4年間を振り返って思い出されるのは?
一番印象に残ってるはやっぱりケガした時のことになります。それがあったからこそ、インカレへの思いが強くなりました。
2年と3年の時にケガをしてしまって、外から見ていると倍の悔しさがありました。でもその分、コートから離れていることで学ぶことも多くありました。自分の足りないことやみんながどうがんばっているのかを客観的に見るとすごい勉強になりました。いろんな人に支えられながら、ケガを乗り越えられたことで、中国1位でインカレに出られたのかなと思っています。
ー 熊選手から見て、高校の同期である田村 未来選手(早稲田大学)はどう映ってますか?
本当にすごいですね。今年の国体では同じチームで出場しましたが、なんかもう強いし、気持ちが全面に出てます。私は決めてやろうと気持ちが出ていても、最後のシュートタッチのところで相手の当たりに負けてしまうことがインカレ予選でも多かったです。決めきる力が彼女は、大学4年生になってより上がっていると国体で一緒にやっていても感じました。相手がどうディフェンスでかぶさってこようが、決めないことには得点にはならず、どれだけ切れ込んで行けてもシュートを決めなければナイスプレイはならないです。自分が今、(ゴールに向かって)行かせてもらえる環境にいる中でもできなかったので、そこでは田村との差は結構開いちゃったなと感じます。田村も今ではキャプテンですからね。たぶん一色(建志)先生(現・アイシンAWヘッドコーチ)が一番ビックリしてるんじゃないですか。笑
ー 田村選手やWリーグで活躍する宮崎 早織選手(JX-ENEOSサンフラワーズ)や加藤 瑠倭選手(デンソー・アイリス)など聖カタリナ女子高校の後輩たちは2020年東京オリンピックを目指す世代であり、その仲間たちに託す気持ちはありますか?
まだ、早織たちの試合も全然見に行けてないですが、チラホラと話は入ってくるし、瑠倭ががんばっているのも聞いています。自分はインカレでベスト8を目指してきましたが、それよりも1つ2つ上のレベルで戦っており、バスケットのことだけを考えてがんばっているというのが本当に尊敬します。同じ高校の後輩たちが、バスケットのことだけを考えて上を目指しているのは本当に頼もしいですし、ずっと応援しています。2020年に向けてがんばって欲しい思いは強く持っています。
文/写真・泉 誠一