真剣な大学日本一決定戦の舞台で、「笑顔が足りないよ」「もっと笑え」とベンチから檄が飛ぶ徳山大学。ベンチもコート内の選手たちもコミュニケーション良く明るいチームであり、清々しい戦いを見せてくれた。前半は日本大学に冷や汗をかかせたが、アジャストされた後半に引き離され、62-79で1回戦敗退。
組み合わせが決まった時から映像を見て研究を重ねた徳山大学に対し、日本大学の網野友雄コーチは「映像がなく、BOXSCOREすら手に入らず、誰が得点源なのかも分からなかった」と苦笑い。準備の差がアップセットにつながる場合もあるが、この試合は地力で勝る日本大学が後半はしっかりアジャストして勝利を挙げた。
敗れた徳山大学の奧野 友章選手はまだ3年生。敗れた直後、すでに来年の目標を掲げている。
ー 残念でしたが、試合を終えた今の心境は?
やっぱり悔しいのが一番です。でも、試合に出る4年生が少ない下級生チームなので、それを考えれば今日の出来は良かった方だと思います。
ー 組み合わせが決まった時点でどんな対策をしましたか?
ビデオを見てフォーメーションなどを研究し、ベンチに入っていないメンバーが対日本大学を想定した練習相手をしてくれました。みんなで研究して、対策をしてきました。
ー 前半は競ることができましたが、後半は相手にアジャストされた時に点差を離されてしまったのは残念でした。
3クォーターに3Pシュートをポンポンと決められてしまいましたが、あそこでしっかりディフェンスでこちらがアジャストできていれば、もっと競った試合になったのではないかと思います。
ー 非常にチーム全員で盛り上げる良いチームでした。
みんなで決めたインカレへ向けたテーマは「必笑」。勝っても負けても、みんなで笑って戦い抜こうという気持ちで大会に臨んでいました。
ー 奧野選手はまだ3年生であり、2年間のインカレ経験を生かして来年こそ開花させて欲しいと期待が高まります。
1〜2年生にとってもインカレの舞台を経験できたことはプラスになっているはずです。来年こそ1勝したいという目標がすでにあります。今の4年生がしっかりと土台を作ってくれたので、そこをしっかり踏んで次こそ1勝したいです。
ー 中国リーグのレベルやリーグ環境は?
中国リーグのレベルは関東に比べるとだいぶ低いです。経験もないので、関東のチームなどがフィジカル強く当たってきたときに引いてしまう部分がありました。中国と関東では体の当たりの強さが全然違いますね。そこに慣れていない部分が、一気に点差を開かれてしまった原因でもあります。来年までにもっといろんな経験をして、強くなっていきたいです。
ー 中国リーグ以外のチームと練習試合を行う機会はありますか?
西日本学生バスケットボール選手権大会や夏に一回名古屋経済大学と対戦したくらいで、中国地方を出ることはほとんどないです。中国地方の社会人チームと練習試合をすることはあります。
ー ベンチから名前を呼ばれていた2年生の具志堅選手は「一真」、小畑選手は「和也」、1年生スターターの中沢選手も「一之」、とカズ3人衆の下級生が良い経験をし、奥野選手自身も4年生となってチームを引っ張る来年が楽しみです。
彼らの名前を呼ぶときに間違えることはよくあります(笑)。一番大事なのがフィジカル面の強さであり、今大会で全然通用しなかったことをみんなが気付かされました。あとは、自分らが崩れてしまった時に立て直すことができる力をつけていけば、もっと良くなると思います。そのためにも、練習中から話し合っていくことが大事です。まだまだチーム内での共通理解ができていません。その部分を練習から積み重ねて行って、来年こそ1勝します。
文/写真・泉 誠一