大量得点差がつき、福岡第一の井手口監督は控えの3年生をコートに送り出した。
ベンチを温める時間の長かった3年生がスリーを決め、残るメンバーが飛び上がって盛り上がる。
続いて経験を積ませるため下級生をコートへ。
そして残り56秒、ラストを締めるため再びスターターの5人をコートへ戻した。
最後の出番となったスターターの5人は、コート上でハドルを組んだ。
46点差で残り1分を切っている。乱暴な言い方になるが、もう流しても昼寝をしていても勝てる時間と点差だ。
優勝会見に出席した選手が口々に言った「福岡第一らしさ」を確認したのだろうか。
この最終盤に一つになって声を掛け合う彼らに、強固な意思で自分たちのバスケットを貫き、決勝にいたるまで相手を圧倒し続けてきた福岡第一の強さを見た気がした。
彼らの勝利への渇望、責任感。
それは我々大人が思う以上に彼らの人生を支配していると思う。
高校生達は純粋だ。
純粋に上手くなろうとしている。
純粋に強くなろうとしている。
純粋に周囲の期待に応えようとしている。
純粋に情熱を燃やし、バスケットに対するデディケイションーdedicationーを体現している。
青臭いくらいに。
それは、少し離れた場所にいる我々のような大人にも伝わってくる。
だがここでぼくら自身のことを思ってみるとどうだろう。
ぼくら大人は純粋だろうか。
ぼくら大人はその情熱をすくい取れているか。
一過性のものではなく。
今、バスケットボールへの注目度は高い。Bリーグも盛り上がっている。日本代表の進化も著しい。海外でプレーする選手も目覚ましい活躍を続けているし、この先もっとステップアップするだろう。
バスケットはNBL、bjの2リーグ並立時代とは比較できないほどの広がりと盛り上がりを見せている。
そして高校バスケットにこれだけのオーディエンスが集まるのだ。注目され、メディアへの露出も多い。