『一番最初に感じたのは、この状況に対して何もできない自分がいました』荒川颯選手
8月、3×3日本代表としてアジア競技大会で活躍していた宮越康槙選手(4年)と荒川颯選手(3年)。帰国してチームに合流したときには、全く違うチームになっていた。「一番最初に感じたのは、この状況に対して何もできない自分がいました。岡田がいたときは自分の甘えだったり、頼っていた部分があったという反省点が見つかりました」と荒川選手は自身を戒める。変化に対応しようともがきながらも、「うまくやれる試合もありましたが、なかなか勝ちにつなげられず、勝つことの難しさを感じました」と悔しいシーズンになった。
最終戦、同じく残留争いにいた明治大学に58-91で完敗。二大エースを同時に失った拓殖大学だが、優秀な選手たちが集まっており、下を向いてばかりもいられない。来シーズンへ向けて池内ヘッドコーチは、「オフェンスがアウトサイドに頼り過ぎなので、もっと大きい選手たちを鍛えていきたい」とペイントエリア内での得点向上を課題に挙げた。荒川選手は「自分たちの流れを作るのがディフェンスであり、昨年優勝した時もそこがベースでした。それができたときに、強い拓大が出せていました。また、オフェンスの流れが悪いときこそ一人ではなく、チームでプレーしなければいけなかったです」ともう一度自分たちの強みを磨いていかなければならない。
「なんだか泣いてばかりで、すいません」という荒川選手の涙を見たのはこの日だけではなかった。今年は新たに3×3に挑戦したり、様変わりしたチームを立て直したり、大変な1年であった。苦しみながらも新しい種を蒔き、その度にたっぷり涙の水をかけ続けたことはきっと来年につながるはずだ。最後にひとつ、荒川選手と約束をした。
「もちろんそこを目標にし、もうスタートを切っていると思っています。あと少ししかない4年生と一緒の時間を大切にしてから切り替えて、また来シーズンに向けてがんばりたいです」
来年の2部優勝、そして1部昇格とともに出場権を得られるインカレでも日本一を目指せるチームを作って戻って来い、それが交わした約束である。2部降格になったが、すでに新入生は決まっているようであり、リクルートに影響はない。荒川選手は顔を上げて、逆に約束してくれた。
「来年は絶対に笑顔で話せるようにします!」
巣立っていく4年生も、来年は2部リーグを戦う残る選手たちも、そして志を高く持ってネクストレベルへ挑む選手たちも含め、それぞれの活躍を祈っている。学生たちはいろんな可能性があり、希望しかない。
文・写真 泉誠一