「終わっちゃいました」
肩を落としながらも、池内泰明ヘッドコーチは笑顔で取材に応じてくれた。関東大学リーグ戦を制した昨年の笑顔とはもちろん違う。
「いろいろゴタゴタがあり、僕よりも選手たちの方が戸惑っていました。簡単にチームが作れるわけではなく、その中でも選手たちは本当によく努力をしてくれました。個人的には、人に頼りすぎたコーチングをしていたのが原因かな。僕がもっと勉強しなければならないことを、あらためて気付かせてくれました。来シーズンに向けて、また積み重ねてがんばっていこうと思っています」
二大エースの一人、ゲイ・ドゥドゥ選手がアメリカへ
拓殖大学はゲイ・ドゥドゥ選手と岡田侑大選手の2大エースが支えるチームだ。昨年のルーキーシーズンから頭角を現して関東を制し、2年目の今年はさらなる躍進が期待されていた。しかし、開幕直前に一通のLINEが池内ヘッドコーチのもとに届き、事態は一変する。それがゴタゴタのはじまりでもあった。
「8月末にドゥドゥがアメリカに行きたいと言ってきました。どういう経緯で、どう行くのかなどの詳細もないまま『帰ります』というLINEが来て、そのまま終わってしまいました。それが開幕直前の出来事です」
もう一人のエースである岡田選手の孤軍奮闘々が続く。コンスタントに30点を挙げ、延長戦までもつれこんだ白鷗大学戦では58点を挙げた。だが、なかなかチームとして勝利をつかむことができない状況に気持ちが切れてしまったのだろうか。ドゥドゥ選手に続き、今度は岡田選手が「プロに行きたい」と言ってきた。先月末、すでに大学を退学したそうだ。
「彼らには良い思いもさせてもらいましたし、彼らの将来なので、僕がとやかく言える立場でもありません。最善を尽くしてがんばってくれればそれで良いです」
Bリーグができたことで、NBA同様に今後はアーリーエントリーとして、4年間を全うせずにチームを去る選手が出てきてもおかしくはない。
「今後はそれを頭に入れながら、チーム作りをしていかなければならないですね。上のレベルでプレーしたい、または家庭の事情で稼ぐ必要に迫られる場合もあるでしょう。そういうケースを見越した良い勉強にはなりました。代償は大きかったですが、来シーズンはチームがまとまって、選手たちががんばってくれることを信じています」
自動降格になったことで来年は2部での戦いとなる。1部リーグが12チームに増えたことで、インカレへの出場権は自動昇格してきた2部チームに与えられる。拓殖大学にとっては、リーグ最終戦がそのままシーズン終了となり、選手たちは涙に暮れた。