8月28日~10月27日まで約2ヶ月にわたり開催された第89回関東大学バスケットボールリーグ戦は東海大7年ぶりの優勝で幕を閉じた。
開幕から順調に白星を積み重ねた東海大は、2位に着けていた青山学院大が10月20日に3敗目を喫した時点で優勝を確定。さらに最終週の残り2試合も筑波大、青学大を破って18勝0敗とし、栄えある全勝優勝に輝いた。
変則リーグを支えた4年生の力
今大会、誰もが「頭ひとつ抜きん出ていた」と評する東海大の強さの要因はなんだったのか?
陸川章監督が開口一番に挙げたのは「バックアップメンバーの底力」だった。今大会は各チームの主力メンバーが東アジア競技大会(10月9日~14日@中国・天津)に出場する期間が休みとなり、それをカバーするため開幕から3週間は水、土、日と週3回開催のハードな日程となった。
「この変則リーグを戦い抜くためには、バックアップメンバーの力が重要なカギとなると考えました。そういう意味で、6月の新人戦優勝で自信をつけた下級生たちの成長もさることながら、ベンチスタートの4年生(和田直樹、佐藤正成、梅田聡貴)たちの力が大きかった。彼らには本当に何度も助けられました」(陸川監督)
チームのエースであり、キャプテンを務める田中大貴も同様の感想を述べる。
「リーグが始まるまでは(週3回の試合について)どんなふうになるのかと思っていたが、実際には自分のプレイタイムは去年より少なくなって疲れも感じなかった。ここ近年で間違いなく1番層の厚いチームだと感じています。それは4年生たちの力によるものが大きい。1年、2年、3年と、途中(試合に)出られないことがあっても決して腐ることなく努力してきた結果だと思います」
その思いは下級生も同じ。最終戦(対青学)では相手を翻弄するアグレッシブなプレイでチームハイの26得点をマークしたべンドラメ礼生(2年)も「自分がスタートから全力で飛ばせるのは控えに直樹(和田)さん、藤永(佳昭、3年)さんという先輩ガードがいてくれるから。そのことで気持ちに余裕ができて自分のプレイに集中することができました」と振り返った。
しかし、危ない試合がなかったわけではない。
「東アジア大会から主力の3人(田中、晴山ケビン、ベンドラメ)が帰ってきたのは10月16日の水曜日。当然翌日は休ませて、練習をしたのは金曜日1日だけ。やっぱりバスケットって難しいですね。3週間離れているとコンビネーションがチグハグになるんです。日曜の拓殖大戦(60-57)は負けていてもおかしくないゲームでした」(陸川監督)
陸川監督の言葉どおり3週間のブランクは想像以上に大きかった。東海大と同様、代表に主力3人(永吉佑也、野本建吾、鵤誠二)を送り出した青学大がこの週、明治大、筑波大に相次いで敗れたのもそれと無縁ではないだろう。
「じゃあ東海はなんで勝てたんですか?と聞かれれば、うちが『点を取ってなんぼのチーム』じゃないからです。(点を取れないときも)みんなで何とか守ろう、守り抜こうと頑張って、拓大を57点に抑えた。そして、最後の最後に大貴がやっと3Pを決めてくれて勝てました。あの勝ちは大きかったですね。あそこで負けていたらまた違う流れになっていたかもしれない。ディフェンスの大切さを再認識し、自分たちのディフェンスに自信を持てたという意味でも大きな1勝でした」(陸川監督)